第５０話 ページ8
第５０話
「はい、じゃあ１年間お疲れ様でした。春休みが明けたら３年生という自覚を持って学校へ来ること。以上、解散だ」
担任の先生が淡々と挨拶を終え、私達１,２年生も１年間の全日程が終了した。明日から春休みだ…やっと学校が終わるのか。
心底安心しつつ鞄を持って教室を出ようと立ち上がる。すると「ちょっと、そこのブラコン女」と呼び止められ振り向く。
「これで終わったとか思わないでよね」
「っ………」
そう言ってケラケラと笑う女の子達から逃げる様に私は教室から出ていった。きっと３年生になっても私の居場所はないだろう。綾瀬さんの影響力はそれほど凄いって事だ。
重い足取りで家に向かいながら、また一段と深い溜息を吐いた。春休みなんか終わって欲しくない、もう学校に行きたくない。かといって家にいれば家族にバレる。
やっぱり、しんどいよ…。
何となく帰る気分にもなれなくて、とりあえず海にでも行ってみようかな…と足を動かした。やってきたのは海浜公園で、こんな時期に海で遊ぶ人も居ないから静かだ。
桜の花弁がヒラヒラと舞うのを眺めながら、自分の体をぎゅっと抱き締めた。
「っ………うう」
周りには誰もいない。
今なら、我慢しなくても…
「あの、大丈夫ですか？」
「へ…？」
誰もいないと思ったのに、背後から声をかけられ驚いて涙が引っ込んだ。ゆっくり振り返ると、そこに居たのは小柄な男の子。
多分、私と同い年くらいかな。童顔でなんかモサモサしてて…気の弱そうな男の子。
「あなたは……」
「ぁああすみません！なんか様子がおかしかったからちょっと気になったっていうか、あの、初対面で図々しいとは思ったんですけど！！」
あたふたとする彼に私はポカンとしてしまって、でも直ぐにハッとし目に浮かんだ涙を擦る。優しい人だな、でも初対面の人に心配かける訳にはいかない。
出来るだけニコッと笑顔を作り口を開いた。
「桜見てたら砂埃が目に入っただけで、本当に何でもないので気にしないで下さい」
「あっ、そ、そうだったんだ……早とちりしちゃったみたいで何かすいません」
それなら良かったです、と苦笑いをして彼は去っていく。そんな彼を私も笑顔で見送り、彼が居なくなってからまたじわっと涙が溢れた。
すると、ドタドタと足音が聞こえ徐々に近づいてくる。そしてさっきの男の子が慌てた様子で戻ってきた。
「ごめん、やっぱり何かあった！？」
「っ……………」
．
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (2023年5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
