第４８話 ページ6
第４８話
俺は、意地悪なんだろうか。
親父は仕事、姉さんも仕事、Aは学校。誰もいない家の廊下を歩きながらそんな事を思う。
と言ってもAがそろそろ帰ってくる時間か。一日中休みでもいつも通りトレーニングとかしてたら、時間が過ぎるのはあっという間だな。
『私、焦凍のそういう所……嫌いだよ』
『焦凍に私の気持ちなんて分からない。私も焦凍の気持ちが分からない。もう、それでいいでしょ』
昨晩のAの言葉を思い出し、また俺は奥歯をグッと食いしばる。あんな事を言われたのは初めてだ。
俺がどれだけ冷たくしようと、どれだけAが俺に笑ってくれなかろうと…嫌いだと言われた事は一度もなかったのに。
「俺は………拒絶、されたのか？」
足を止め俯き下に視線を落とす。
冷たくし続け、とうとう俺は拒絶されたのか。いや、元々そんな仲良くもねぇだろ。いつも俺を見るとAは気まずそうにしてた。だからAは、俺の事なんて元から嫌いだったんだろう。
それなのに、今日の朝も俺に挨拶したり…。でも俺は返事をしてやらなかった。
『俺は、まだお前が間違ってると思ってるからな』
朝言った気持ちは変わらない。どう見てもAが友達だって言ってるあの生徒は、Aの事をそんな風に見てなかった。
Aは気付いてない。そんな上っ面だけの友達ごっこをした所で、騙されてると気付くのが遅くなればなるほど深く傷付くのはお前なんだぞ…A。
その時、玄関が開く音が聞こえハッとする。立ち尽くす俺の前に学校から帰ってきたAが現れ、俺に気がつくと気まずそうに顔を逸らした。
「……ただいま、焦凍」
心做しか元気がねぇ様にも見えるけど、俺の前じゃいつも気まずそうにしてるから、元気がねぇのかどうなのかすら分からねぇ。
Aが俺の横を通り過ぎる。どうする、何か言うべきなのか。でも何を…。
「上っ面だけの友達がいる学校はどうだった」
「っ………」
話す内容がなさ過ぎて、結局こんな事しか口から出てこない。Aは俺の言葉に足を止め「うん…楽しかったよ」とだけ答える。
上っ面、って所にはもう突っ込まねぇのか。
昨日のことも、なんで俺を怒らせると分かってて約束を破ったんだ。俺には怒られても、嫌われてもいいのか。
だからお前は…
俺を切り捨て
そんな薄っぺらい友情を選んだのか。
ああ、駄目だ
また…イライラする。
．
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (2023年5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
