番外編６ ページ46
番外編６
そう言うと、焦凍が少し目を見開いた。
正直、まだ焦凍の気持ちに応える事は出来ない。でも間違いなく私は焦凍の事を一番信頼してる。
一番信頼出来るほどの事を……焦凍は今まで私に沢山してくれた。一番信頼出来るほどの言葉を、焦凍に沢山貰った。
「……なら俺は、お前の信じる俺でいねぇとな」
「じゃあ私も、焦凍の信じる私でいないとね」
「お前はそんなに気張らなくていい。仮にもしAが道を踏み外そうと、お前が俺を救ってくれたように…俺はお前を必ず救い出す」
「……うん、お願いします」
自然と頬が緩み薄ら微笑むと焦凍はまた目を見開いき、そして眉をひそめ少し苦しそうに顔を歪めた。
「ご、ごめん…何か変なこと言った？」
「いやそうじゃねぇから大丈夫だ。ちょっと胸が苦しくなっただけで…」
「え、それ大丈夫なの？体調悪いなら…」
「違ぇ…ちょっと嬉しくて」
嬉しくて？
よく分からなくて首を傾げると、焦凍は眉間にシワを寄せたまま少し微笑み私の頬に手を添えた。
「……また、俺にも普通に笑ってくれるようになったんだなって」
「え…そんな些細な事で？」
「俺にとっては些細な事じゃねぇからな。今まですげぇ気にしてた」
「そ、そうだったんだ」
確かに前にも『俺にも笑ってみろ』とか言ってたっけな。そんなに気にしてたんだ。
私ってそんなに焦凍に笑ってなかったっけ？
そんな事を考えていると遠くから「二人とも〜、お昼ご飯出来たよ〜」と冬美姉さんの声が聞こえた。もうそんな時間になったんだ、時間経つの早いなぁ。
「行こっか、焦凍」
「……A」
私が立ち上がろうとしたら焦凍に腕を捕まれ止められる。「どうしたの？」と私が言うよりも先に、焦凍に口を塞がれた。
焦凍の口によって、塞がれた。
私の唇に触れる柔らかい焦凍の唇と、ふわりと香る焦凍のにおい。トタトタッと冬美姉さんがこちらに近づいてくる足音が聞こえ、焦凍はそっと私から離れる。
「あ、やっぱり二人ともココにいたのね。ご飯出来たから早くおいで」
冬美姉さんがひょっこり顔を出し、それだけ言うとまたどこかへ行ってしまった。
キョトンとしてしまう私を見ながら、焦凍は少し艶っぽく微笑み人差し指を立てる。
「……今のは、２人だけの秘密だ」
その表情に、声に、言葉に、行動に
トクンッ…と私の心臓が小さく跳ねた。
この鼓動の
正体は…───
おしまい
．
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (2023年5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
