第７４話 ページ32
第７４話
「………頼む」
轟くんの落ち着いた声がして振り向くと、轟くんは彼に頭を下げていた。轟くんがそこまでするのが何か以外で、吉野という人も同じ事を思ったのか面食らった顔をしている。
そして深い溜息を吐き「チッ…分かったよ」と嫌そうな顔で言った。
「で、どっから聞きたいんだ」
「全部だ…」
僕達３人は椅子に座り直し、吉野という人は面倒臭そうに頭をかきながら口を開いた。
「言っとくけど今回俺は何もしてないからな。ちょっと前に友達から声をかけられて…」
彼はポツリポツリと語り出した。
少し前に友人から『お前って轟焦凍って奴が憎いんだったよな。面白い話聞いたんだけど、乗っかってみるか？』と言われたらしい。
だが彼は轟くんと関わるのを嫌がり断ると、その話は無くなった。そして数日後、気になってその友人に何だったのか尋ねると…。
『大学生の知り合いにタダで女抱けるから来るか？って誘われたんだよ。俺は忙しかったから断ったけど、相手の女が轟焦凍の妹だって聞いたからお前に声掛けただけ』と言った。
『なんで轟焦凍の妹が？』と問うと『さあ、詳しくはしらないけど…その妹の事を嫌ってるクラスメイトの女が大学生達と知り合いで、たらい回しにしてくれって頼んだらしいぞ』と言っていたそうだ。
轟くんも僕も、衝撃的すぎて言葉が出なかった。
先になんとか声を絞り出したのは轟くんで、
「………それ、実行されたのか」
「友達の口ぶりからして多分そうだろうな。轟の妹はそのクラスメイトに騙されて、名前も知らない大学生の集団に無理矢理抱かれたんだ」
轟くんがギリッと奥歯を噛み締め悔しそうに拳を握る。僕も想像するとゾッとしてしまった。
まだ中学生のあの子が、知らない男達に何度も何度も何度も…。きっとクラスメイトっていうのはいじめの主犯、つまり轟くんがフッた子だろう。
いくら何でもやり過ぎだ。
なんて、酷いことを…。
「俺が知ってるのはこれくらい。だからもう帰っていいか？」
「…ああ」
吉野という人はこれ以上関わるのは御免だと、早々に立ち去っていった。
点が線で結ばれていく。
Aさんはただ通行人に声をかけられただけで個性を使ったという。もし、それが大学生達に抱かれた後だったとしたら。怖くて拒絶反応を起こし、パニックで個性を出してしまったんじゃないか。
轟くんも考えている事は同じなのか、ずっと黙ったまま悔しそうに下を向いていた。
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (2023年5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
