第７３話 ページ31
第７３話
僕が知ってる事は全て話した。轟くんは目を見開きながら「俺のせいで…Aが」と小さく呟く。
「轟くんのせいじゃないよ！確かに、轟くんの冷たい態度に相手の子が腹を立てたのかもしれないけど…でもだからって轟くん一人のせいじゃない！」
そうだ、こればっかりは誰か一人のせいじゃない。
約束を破ったAさんが原因で轟くんは怒ってたんだし、冷たい態度をとった轟くんが原因で相手は怒ったんだろうし、だからと言ってAさんに八つ当たりした女の子も悪い。
結果的に言えば３人とも悪い所がある。だから誰か一人のせいじゃないんだ。
「でもAさんは、いじめに屈しない姿勢だった。だから只のいじめで…こんな事になるとは思えない」
「………ああ。あの日の直前まで、Aは落ち込むどころか明るくなってきてた」
じゃあやっぱり原因はいじめじゃないのかな。また振り出しに戻ってしまった気がして、僕も轟くんも何も言えなくなる。
するとその時「は、轟…？」と声がして僕も轟くんも顔をあげると、僕の知らない人が轟くんを見て怪訝な顔をした。誰だろう……轟くんの知り合い？
「………吉野」
「チッ、嫌な顔見た…」
吉野という人は轟くんが嫌いなのか、その態度を隠そうともしない。そそくさと去ろうとしたが足を止め何かを思い出しニヤリとしながら振り向く。
「雄英体育祭で２位の実力を持ってても、やっぱり妹は守れなかったんだな」
「は…？」
「俺が貼るまでもなく妹を守れない弱者のレッテルが貼られて、さぞ悔しいだろ…ざまあみろ」
それだけ言うと「じゃあなっ」と手を振り背を向ける。が、ガタッと轟くんが勢いよく立ち上がり吉野という人の胸ぐらを掴んだ。
「おい……今の話なんだ」
「っ、離せよ轟！」
「いいから答えろ。お前、何か知ってるのか？」
吉野という人は困惑しながら「はあ？本人から聞いてないのかよ」と轟くんの腕を振り払う。僕も引っかかった。
この人は、何かを知ってる。
「知ってること教えろ…！」
「なんで俺がお前なんかにっ」
「一旦２人とも落ち着いて！ここ店内だから他のお客さんとかも居るし…」
僕が仲裁に入ると、吉野という人は鋭い目で睨む轟くんを見ながら「聞き方ってもんがあるだろ？なあ？」とまた煽る。
「ちょ、君もいい加減に…」
「………頼む」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1765人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
