第７２話 ページ30
第７２話
今日も全ての授業が終わり、僕はグッと背筋を伸ばした。思ったより難しい所が多かったな…帰って予習復習しないと。
そう思いながら鞄に荷物を詰めていると「緑谷、ちょっといいか」と声をかけられ振り向く。そこに居たのは轟くんで…話すのは体育祭以来だ。
「え、と…どうしたの？」
「この後時間あれば、ちょっと付き合って欲しい」
それはつまり…一緒に帰ろうって事かな。轟くんからそんな事を言われると思わなくて、でも轟くんの目が真剣に見えたから僕も「分かった」と頷く。
そしてやってきたのは駅前のファミレス。お互い飲み物を頼んでひと段落すると、轟くんは本題をきりだした。
「緑谷、お前……俺の妹と知り合いだろ」
「えっ……妹さん？」
「一つ下でAって名前の奴、赤い髪の」
赤い髪で一つ下のAさん…轟Aさん。直ぐに一人の人物が浮かびハッとする。同じ苗字だった事に今更気づくなんて。じゃあ、あの子が言ってたお兄さんって轟くんの事だったんだ。
でもなんて言うか、あんまり雰囲気似てないなぁ。
「うん、２回だけ会ったことあるけど」
「……そうか。とりあえず、なんか妹がお前に色々世話になったって聞いた。ありがとな」
「え！？いや、僕は何も…」
「それで……Aの事について、緑谷が知ってる事を全部教えて欲しい」
轟くんが真剣な目で僕を真っ直ぐ見る。その目は兄のようで、でももっと何か深い…別のものにも見えた。何でそんな真剣な顔で聞いてくるんだろう。
そこまで考えてハッとする。
「……妹さん、何かあったの？」
「……………」
僕の言葉に轟くんは少し黙り込んだあと「そうだな、話してもらう以上…ちゃんと事情を説明しなきゃいけねぇよな」と目を伏せる。
そして轟くんは今の状況を話した。Aさんが通行人に個性を使って危害を加え警察沙汰となった事、その夜にAさんが死のうとしていた事、今は入院中で本人は何も話そうとしない事。
聞けば聞くほど僕の顔も青ざめていき、あの子がそんな風になっている事に胸が痛くなった。
「事情は…よく分かった。でも僕が知ってる事なんて些細なことで、轟くんはもう知ってる事かもしれないけど」
「それでもいい……頼む」
「………Aさん、学校でいじめにあってるってこと轟くんは知ってた？」
そう言うと轟くんが目を見開き固まる。
そっか、知らなかったんだ…。
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (2023年5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
