第７０話 ページ28
第７０話
その夜、コンコンッと病室のドアをノックする音が響き私は顔を上げる。こんな時間に誰だろう、またカウンセラーかな。
「はい…」と返事をすると扉が静かに開き、そこに立っていたのは焦凍だった。何日ぶりだろうか…入院してから一週間も経ってないとは思うけど、焦凍の顔を見るのは随分久しぶりな気がする。
焦凍は少し気まずそうにしながら「久しぶりだな」と言って私の方へ来ると、ベッドの横にある椅子に腰掛けた。
「……なんで、焦凍が」
「ちょっとお前の顔が見たくなって。最近俺も忙しかったから時間取れなかったし、今日やっと色々落ち着いたから」
「…ああ、体育祭だったもんね。見てたよ」
でも焦凍が来るなんて思わなかった。冬美姉さんは保護者だから仕方がないとしても、焦凍がわざわざ私に会いに来る必要なんてないのに。
だって焦凍、私のこと嫌いでしょ。
「体調はどうだ？」
「別に…体調が悪くて入院してる訳じゃないから」
「…………お前、雰囲気変わったな」
自分じゃよく分からないけど、多分悪い方にって意味だろう。元々明るい方ではなかったと自分でも思ってたし、より一層暗くなったからといって今頃どうでもいい。
それよりも、雰囲気が変わったと言うなら焦凍の方が少し変わったように見える。
「……焦凍も何かあったの？」
「変わったように見えるのか？」
「分からないけど、少し。緑谷くんとの試合で炎を使ってた事と関係あったりするのかなって…」
そう言うと焦凍は少し気まずそうしながら「色々あって、緑谷って奴に少し感化された」と言った。
やっぱり凄いな…緑谷くん。ずっと凍ったままだった焦凍の心を動かしたんだ。なんか、只者じゃないって感じ。
「兄妹揃って緑谷くんには頭が上がらないね」
「お前……緑谷のこと知ってるのか？」
「会ったのは２回だけだけど、私も緑谷くんに色々お世話になった身だから」
でも、結局私は変われなかったよ…緑谷くん。貴方みたいな強くて優しい人間になりたかった。だけど人間の本質は簡単に変わらない。だから綾瀬さんの同じ手に引っかかってしまった。
それに、私はもうダメだ。強くて優しい人間になれる気がしない。
だって……どうせ個性を暴走させ怪我を負わせてしまうなら、綾瀬さん達にすればよかったと、そんな事を考えてしまうようになったのだから。
所詮、私は腐った林檎。
焦凍や緑谷くんみたいな
素晴らしい正義感なんて持てない。
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (2023年5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
