第５２話 ページ10
第５２話
「ちゃんと、謝ろう」
「え…あの、でも、今更私が謝ったって」
「許してもらう為に謝るんじゃなくて、君が悪い事を言ってしまったと自覚してるから謝るんだ。その後でどうするかは、お兄さんが決めるだろうし」
それに、と緑谷くんは続ける。
「許してもらえるかどうか、それは謝ってみなきゃ分からないけど……行動しなきゃそれすらも分からないままだよ。可能性が１％でもあるなら、諦めちゃ駄目だ」
「……緑谷くん」
「わああっ、ごめんね！なんか説教みたいになっちゃって！！」
「ううん、ありがとう」
緑谷くんの言う通りだ。許してもらえるかとか、今更合わす顔がないからとか、そういうのじゃなくて。単純に私が焦凍に対して酷いことを言ったから謝るんだ。
嫌われてるのは分かってる、仲直り出来るなんて思ってない。でも、私は焦凍に言わなくていい事まで言ってしまったから……それを謝らなきゃ。
「それとさ、いじめの方なんだけど…実は僕もずっと周りの人から馬鹿にされてたんだ」
「え、緑谷くんも？」
「……うん。身の丈に合わない夢を持ってて、それをずっと馬鹿にされてきた。だから僕も下を向きながら生きてきて、もう何もかも諦めた方がいいのかと思ってたんだ」
でも、と緑谷くんは自分の右手に視線を落としギュッと拳を握った。
「僕の事を救ってくれた人がいて、かけて欲しかった言葉をくれた人がいた。おかげで僕は前を向いて進めるようになって、だからかな…最近思うんだ」
「……………」
「どれだけ周りに馬鹿にされようと、下を向く必要なんてこれっぽっちもなかったんだな…って」
「っ………」
「だから君も、ツラいかもしれないけど顔を上げてさ…理不尽な周りの言葉なんかに負けないで」
緑谷くんの言葉、一つ一つが胸に染み込んでいく。本当に不思議な人だなぁ、年齢だって一つしか変わらないのに。
なのに、緑谷くんという人物の言葉には酷く安心感がある。春に咲く花を揺らすそよ風のような、青々とした木々から零れる木漏れ日のような。…そんな安心感だ。
あれ、胸がザワつく。
「あ、そろそろ日が暮れてきたし…帰ろっか」
「えっ…あ、はい。私なんかの話聞いてくれて、ありがとうございました」
「ううん、何も大したことは出来てないから。あっ…僕でよければよくここにいるから、また何かあったらいつでもおいでよ」
「……はいっ」
なんだろう、この気持ちは。
．
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
