第６２話 ページ20
第６２話
「み、緑谷くん…！」
私が慌てて駆け寄ると緑谷は私の方を振り向く。正直驚いた、なんで緑谷くんは…。
「あの子が落ちるって分かってたんですか？」
「え…？」
「だ、だってあんなに急いで走って…」
危ないとは私も思った。でも、あの時子供が落っこちるなんて誰が予想出来ただろう。緑谷くんは分かっててあんなに急いで駆け寄ったんじゃないの？
緑谷くんが直ぐに駆けつけたから子供は無事だったものの、あの一瞬で直ぐに判断出来るなんて。
「えっ、いや…落ちるなんて僕も思わなかったよ。だから落ちてきた時凄く焦ったけど、間に合ってよかった」
「……じゃあなんで、あの時」
「だってあの子泣いてたから。反射的に体が動いちゃったって言うか…う〜ん、説明するのは難しいんだけど」
泣いてたから、助けを求めてたから、だから直ぐに体が勝手に動いて走り出しちゃったってこと？
私の胸がギュッと締め付けられた。
ああ、なんてカッコイイ人だろう。
現役ヒーローでもここまで正義感の強い人は果たして何人いるか。勿論、同じ状況なら誰だって子供を助けようとするだろう。でもあの状況なら誰だって「大丈夫？」と声をかけながら近寄り様子を見る。
なのにこの人は慌てて走った。緑谷くんの助けに行こうと走り出す早さは、群を抜いている。きっと考えるより先に体が動いたんだ。
「………緑谷くんって本当に凄いね」
「え！？そ、そんな事ないよ！」
「ううん、ヒーローみたい」
もしこの人がヒーローになったら、きっと誰よりも多くの人を助け笑顔にするんだろう。まるで生ける伝説、平和の象徴…オールマイトのように。
私の言葉に照れながらオドオドする緑谷くんが、どうしようもなくキラキラして見えた。本当に凄いなぁ…私もこんな風になれたら。
私はヒーローになれない。
なれるような正当な理由なんて…
『それでもヒーローを目指すことに後ろめたさや不安を感じているなら…』
前に見たワイドショーに出ていたオールマイトの言葉を思い出しハッとする。
『どんなヒーローになりたいか、を考えるのも大切だ。憧れるヒーロー像を思い浮かべることで、自分もそうなりたいと前に進める』
そっと緑谷くんを見る。
そうか、私が緑谷くんを見てこんなに胸が締め付けられるのは…こんなにキラキラして見えるのは。
私が緑谷くんに憧れてるからなんだ。
緑谷くんのような
強くて優しい人になりたい、と。
．
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (2023年5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
