第５４話 ページ12
第５４話
後からオドオドしてるけど、とその男の事を思い出しているのか…Aがクスッと笑った。
その姿に俺の目が見開かれる。体の底からよく分からないものがフツフツと上がってきて、Aの顔を見るとまたイライラしてきた。
初対面の男には、そんなに簡単に笑うのか。ずっと一緒にいる俺には冷たいのに、なのにお前は…その男の前ではそんな顔をするのか？
「……それでね、その男の子にも背中を押してもらって。だから私焦凍に」
「たった一日で随分仲良しになったんだな」
「え…？」
「前、吉野に騙された一件があるのに…まだお前は懲りてねぇのか。懲りずにこんな時間まで男探しだなんてな。お前がそんなに男好きだったなんて知らなかった」
「焦凍……なに、いって…」
「男の前ではそうやってヘラヘラするのか。だからお前、友達出来ねぇんだろ。周りの奴らに本性見抜かれてんだ」
「ちょっ…さっきから何を！」
「だったら……」
俺に手を伸ばしてきたAの腕を左手で掴み、右手でAの顎を掴んで顔を上げさせる。
月明かりに反射するAの目の色は俺の左側と同じ色で、その濁りのない目を見ていると何故か悔しくてAを睨みつけた。
「俺にも、笑ってみろ」
「え……あ…しょ、と？」
「出来るだろ、男相手なら」
初対面の男に笑うみたいに笑ってみろ。クソ親父にベタベタする時みたいに笑ってみろ。俺だけが知らない、俺だけがお前の笑顔を知らない。
「っ……離して、焦凍」
「いいから早くしろ」
あの笑顔が俺に向けられれば、俺の中にあるこのモヤモヤも消えるのか。ずっとモヤモヤしてイライラして、Aと居るとこの感覚は強くなる。
鬱陶しい、何なんだ一体。
Aを避ければ解決するかと思ってたのに、そういう訳でもなくて。なあ、A…俺はどうすれば解放されるんだ。
パキッ…パキッ…と俺の右側に霜が降り始めた。俺の中で感情が冷えていくのに比例して、右側がどんどん冷たくなっていく。
その様子にAが顔を真っ青にした。そんな心配しなくても凍らせたりなんかしねぇ。
「やっ…いや、焦凍っ」
「なんで笑わねぇんだ、男相手なら出来るだろ」
「さっきから何の話してるの？それに焦凍と私…男相手じゃなくて、兄妹でしょ」
「っ…………」
．
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クロ - 凄く素敵でした✨私は今まで読んできた轟の夢小説の中で、この作品が一番大好きです!次の作品も楽しみにしています! (11月22日 16時) (
レス) @page47 id: 0a0119112e (このIDを非表示/違反報告)
あやぎり(プロフ) - 妙にリアルな感じがめちゃくちゃ好きです…！主様の文もとても惹かれるもので素敵でした！完結おめでとうございます！次の作品も楽しみにしております♡ (5月2日 20時) (レス) @page47 id: d40ddaf348 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 次の作品を楽しみにして待っています…！ (2022年5月14日 21時) (レス) id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
CLOCHE(プロフ) - 私の中では兄弟恋愛がなかなか受け入れられないものなので普段は見ようとしないし、何なら兄弟恋愛かもって思った時点で見るのをやめようかと思いましたが、この作品はこれでおしまいじゃなくて続きを読んでみたいと思うほど面白かったです。 (2022年5月14日 21時) (レス) @page47 id: 1fbe654695 (このIDを非表示/違反報告)
るう - いぢめてたモブ達への復習ナシは流石に胸糞が残る (2021年9月7日 23時) (レス) id: 63584da8be (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月19日 23時
