第３９話 ページ41
第３９話
中学校生活も今日で終わる。長くも感じなかったけど短くも感じなかったな。
俺にとっての本番は、多分高校からだ。あの雄英高校で学べる事は全部学んで、俺は右だけの個性で親父を超える。
卒業式の時間まで教室で待機する俺達3年。すると、クラスメイトが「あの子誰？」「あれって確か…」とざわつき出す。なんだ、と思い教室のドアを見るとAが気まずそうに立っていた。
なんで、Aが3年の教室に。俺がポカンとしているとAと目が合い、Aは何かを言おうと戸惑っている。
俺に用事があるのか？
急いで立ち上がりAの元へ行く。
「お前、なんで…」
「ご、ごめん……変なタイミングで来て」
「それはいいから、俺に用事か？」
そう言うとAは俯きながら小さく頷いた。
「……あの、卒業式が終わったら校舎裏に来て欲しくて。ちょっと大事な話が…」
「大事な話って、家に帰ってからじゃ駄目なのか」
「出来れば……直ぐがよくて」
なんだ…Aが俺に大事な話って。でもそんなに直ぐがいいのか。何の話なのか気にはなるけど、こんな風にAが頼んできたことねぇからな。
「分かった、終わったらすぐ行く」
「っ…ありがとう！」
Aは少し目を輝かせ自分の教室へと戻って言った。その後ろ姿に、何故か胸がぎゅっとする。笑ってはいねぇけど、あんなに嬉しそうにするなんて。
学校に来た時、下駄箱にある大量の手紙。流石に全部相手出来ねぇから、相手には悪ぃけど全部避けるつもりだった。誰か一人ってのは不平等だしな。
だから早く帰るつもりだったけど、Aに呼び出されるとは思わなかった。
……ああ、卒業式なんて早く終わればいいのに。
なんでそう思ってるのか分かんねぇけど、卒業式は酷く長く感じた。早く、早く、と思えば思うほど長く感じる。
Aの大事な話ってなんだ。
でも、あんなに嬉しそうにしてるのは久しぶりに見た気がする。あの様子なら暗い話って訳でもねぇんだろうけど…気になる。
どうせならそのまま一緒に帰るのもいいかもな。一緒の学校ってのも、もしかしたら今日で最後になるかもしれねぇんだし。
Aが雄英に来たら話は別だけど。
もしAが雄英ってなったら、また同じ学校になるのか。なんでか、それはあんま嫌じゃない。
この気持ちも、全部
後で裏切られるとも知らず
俺は悠長にそんな事を考えていた
．
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
