第３５話 ページ37
第３５話
朝、目が覚めると私は眠たい目を擦りながら洗面台に向かう。ボーッと鏡に映る自分の顔を見て、眉間にシワを寄せた。
「………ひどっ」
本当に、酷い顔だ。
目に下にくっきりと出来てしまったクマと青白くなった顔色。でも仕方ないか、殆ど寝れなかったし。
昨日は焦凍と大喧嘩をして、私は直ぐに自分の部屋に戻った。見た事のない苦しそうな焦凍の顔が忘れられなくてずっと考えてたけど、やっぱりどうしていいか分からない。
『お前だって俺に冷てぇだろ…！』
焦凍の言葉を思い出すと、胸がぎゅっと締め付けられた。冷たくしていた自覚がない訳じゃない。
いつからか、私に対して冷たい態度をとるようになった焦凍が嫌で、怖くて、嫌われてるんだと自覚した。だから私もなるべく関わらないようにと避け始めたのだ。
私のことを嫌ってる人と一緒にいるのは気まずくて、だから避けた。それは冷たいということになるんだろう。でも…
『なんで親父にはニコニコして俺にはそうなんだ！』
そんな風に、思ってたのか。
焦凍はそれが嫌だったのかな。でも、ならどうして私に冷たくするんだろう。全然意味が分からないけど、今更変えられる気もしない。
やっぱり自分のことを嫌ってる相手といたら気まずくて、どうしても笑えなくなる。そう簡単に作り笑いが出来れば友達作りも苦労してないよ。
「………はぁ」
溜息を吐きながら顔を洗いタオルで拭く。今日も学校なんだからしっかりしなきゃ、授業中に居眠りとかするのも嫌だしなぁ。
そう思いながら洗面所を出ようとすると、突然現れた相手とぶつかりそうになる。足に急ブレーキをかけ止まり顔を上げた。
「っ……」
「…！」
焦凍だった、気まずい。
昨日の今日だもん、めっちゃ気まずいよ。
「お、おはよう…」
「……ああ」
焦凍も気まずいのか少し焦って私から目を逸らす。寝起きのせいで無造作にボサついた髪、そして焦凍の目の下にもくっきりとクマがあった。
多分、私といい勝負な具合に。
「……なんか、顔色悪いね」
「それはお前もだろ」
会話が止まりシンッ…と空気が冷える。
早く出ていこうと焦凍の横を通り過ぎる私に「昨日は…」と焦凍が話しかけてきた。
「……昨日は、ちょっとやり過ぎた」
「え…」
「悪ぃ、怖い思いさせて」
「………いや、怖くはなかった、よ」
「…そうか」
気に、してたんだろうか。
焦凍が…私を？
．
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
