第１２話 ページ14
第１２話
「なるほどな、そういう事か」
頭が真っ白になって呆然とする私と、面倒くさそうにする先輩の耳に低い声が届く。二人ともハッとして図書室の入口を見ると、そこには冷たい顔をした焦凍がいた。
先輩は血相を変えて「轟…！」と焦凍を睨み、焦凍はゆっくりと私達の方へ歩いてくる。
「A、だから怪しいって言っただろ」
「…………しょ…と」
焦凍は私から先輩に視線を移すと、私の時とは比にならないくらい冷たい目をした。
「吉野、お前だったのか」
「っ……ああそうだよ。お前のせいで俺は２年も付き合ってた彼女にフラれたんだ。俺よりも、一度も話したことのないお前の方がタイプだからって…」
そんな、理由で…？
自分の彼女が焦凍に目移りしたから、だから焦凍を貶めようとしたってこと？
「俺だけじゃないぞ、俺と同じ思いをした奴はいっぱい居る」
「……だから何なんだ。俺に用があるなら直接言いに来ればいいだろ」
「っ…お前に直接言うだけじゃスッキリしないから復讐しようとしたんだろうが！！」
全然分からないよ、先輩。
楽しい思い出も、撫でてくれた優しい手も、かけてくれた嬉しい言葉も…
「全部、嘘だったんですか…？」
「はあ？だからそう言ってんじゃん」
「私のこと、可愛いと思ったって…」
「誰がお前みたいな暗い女なんか好きになるかよ！しかも轟の妹なんて、余計に有り得ないわ」
「……私の髪、林檎みたいだって」
「ああそうだな。林檎みたいだよ、でもお前は轟の妹。腐ってる。腐った林檎だ」
「っ………」
もう、嫌だ…聞きたくない。
私は立ち上がり先輩の腕を掴むと、先輩の頬に思いっきりビンタをした。バチンッという乾いた音が図書室に響き、先輩はよろよろと後退る。
嫌だ、こんなの。
なんで私が騙されなきゃいけないのかとか、なんでそんな酷いことしようと出来るのかとか、言いたいことは山ほどある。でも、それよりもまず…
「……焦凍に、謝ってよ」
涙を堪えながら震える声でそう言うと、先輩は「は？」と眉をひそめ焦凍も驚いて目を見開く。
「焦凍に謝って！！」
「なんで轟に……自分じゃないのかよ」
「私にも謝って欲しいです、でも…先輩が本当に傷つけようとしたのは私じゃなくて焦凍でしょ？だから焦凍を傷つけようとしたこと、謝って」
「っ……なんで俺が」
「だって焦凍は悪いことしてないじゃん！！」
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
