第３１話 ページ33
第３１話
日誌を書き終え焦凍に「…じゃあ帰るぞ」と言われ私は焦凍と一緒に家に向かっている。こうやって焦凍と一緒に帰るの、中学になってからは多分初めてだと思う。
小学校の低学年くらいまでは一緒に行ったり帰ったりしてたけど、日に日にそういうのもなくなってたから。
チラッと少し前を歩く焦凍の背中を見た。案の定というか、やっぱり会話はなくて私達の間を沈黙が流れる。気まずいな…。
「えっと…焦凍は、帰ったら今日も特訓？」
「ああ、そのつもりだ」
「……そっか」
必死に話題を探して行ってみるものの、直ぐに会話は終わってしまう。本当になんで焦凍は私と帰ろうとしたんだか。
焦凍だって私と居るのは気まずいだろうに。
「お前、いつもあんななのか」
「………あんなって？」
「ああして、一人でいるのか？」
うわっ…私の気にしてることにド直球で聞くなんて。焦凍って空気読めるタイプだと思ったのに、なんで私に対しては空気読めないんだろ。
めちゃくちゃデリケートな部分ですよお兄ちゃん。
「……友達、居ないって言ってるじゃん」
「なにムッとしてんだ。別に上っ面だけの友達なんて居らねぇだろ、そういう関係は長続きしねぇしメリットもねぇからな」
「分かってるよ…」
分かってるけど、それでも欲しいよ。私は焦凍みたいにクールになれない。他人の目は気になるし、友達とか出来たら楽しいだろうなって思ってしまう。
それが上っ面の友情でも、羨ましいって思う。焦凍にはこの感覚分からないんだろうな。
「なんで焦凍は人付き合いしないの？」
「必要なことならするけど、俺の目的を果たすのに友達ごっことかはいらねぇ」
やっぱり焦凍はお父さんの力を…。友達ごっこなんてする暇もなければ、必要性も感じないんだろう。
冷たく凍えてしまった感情。きっとそれは酷く悲しい事なのに、そんな焦凍を羨ましいと感じる。私の心もそれくらい凍らせてしまえば、もっと楽になれるだろうか。
そうこうしている間に家につき「ただいま…」と私だけが呟いて玄関を開ける。ただいま、くらい焦凍も言いなよ。と思いながら家に入った。
すると、玄関にある靴に目が行く。
私や焦凍、そして冬美姉さんの物じゃない…一際大きな靴。これってもしかして、お父さん？
「………お父さん、帰ってきてるんだ」
そっと焦凍の方を見るとあからさまに嫌そうな顔をしていて「どうでもいい」と言ってそそくさと去っていった。
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冬桜 - 読んでて自分まで胸がｷﾞｭｯてなったりしてすごく面白かった？です！！ (2021年8月6日 23時) (
レス) id: 4ef8003614 (このIDを非表示/違反報告)
黒目。(プロフ) - 小説も絵もめっちゃ好きです！！ (2020年4月17日 1時) (レス) id: 5a29d39680 (このIDを非表示/違反報告)
ひまり(プロフ) - ごめんなさい！随分前の作品みたいですけどスッゴく大好きになりました！このまま読み進めようと思います！挿し絵も大好きです！ (2019年8月15日 18時) (レス) id: a4cdcf90f4 (このIDを非表示/違反報告)
瑠斗 - とどろっちゃん！！！！好きだぁ！ (2018年11月11日 22時) (レス) id: 223f7ad38f (このIDを非表示/違反報告)
いう - 頑張ってください。 (2018年11月11日 22時) (レス) id: 170f7a55c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月14日 17時
