第３３話 ページ36
第３３話
徐に真剣な顔で走り出す焦凍さんに疑問を持ちながら『待ってろ』と言われたが小走りで追いかける。すると、焦凍さんは３人組の男性のうち１人の男性の腕を掴んでいた。
相手の男性は「痛てっ、離せよ！！」と焦凍さんに怒鳴るが、焦凍さんは険しい顔をして離そうとしない。
「お前、そこの老人とすれ違いざまに財布盗んだろ」
「っ…なんで！！」
「見えてたからな」
なるほど、スリだったのか。焦凍さんよく気づいたな…スられた老人はハッとポケットを確認し無いことに今気づいたのに。
凄い観察眼だ。
「くそっ…こいつプロヒーローのショートじゃねぇか！！」とスリをした男性が悔しそうに歯を食いしばる。連れの２人も「どうする、俺達だけで逃げるか？」とひっそり話してる。
「なにこの騒ぎ？」
「スリだってよ…偶々ヒーローがいて」
「あれってショートじゃない？」
「嘘っ、本物！？なんでいんの！？」
「私超ファンなんだけど！！」
「話しかけに行こうよ！！」
どんどんギャラリーが集まってきて、特に若い女の子達がぞろぞろと走って焦凍さんに近寄る。一気に沢山の人達が焦凍さんに詰め寄り焦凍さんがギョッとした。
そして、その隙にスリの男性が暴れて焦凍さんの腕を振り払い逃げてしまい「おい…！」と焦凍さんが追いかけようとするが、直ぐに集まった女の子達に囲まれて道を塞がれ、追いかけられなくなった。
「しょ、焦凍さ…」
「ちょっと邪魔！！」
私が呆然と突っ立っていると背後から焦凍さんに駆け寄る女の人に突き飛ばされ、私は余計に近づけなくなる。
焦凍さんも困惑していて私と目が合うと「悪ぃ、直ぐ行くからどっかで待っててくれ…！」と女の子達の対処におわれていた。
私は戸惑いながらも頷き、その場から一旦離れることにし何処か静かな場所を探す。
神社から少し離れた所に橋が見えて、何となくそこへ向かうと周りには誰もいない。静かだし橋なら目印にもなるよね。
焦凍さんに「神社の近くの橋にいます」とメールをして私のは川辺に腰を下ろした。
やっぱり焦凍さん、有名人だからな。
そりゃ地元のお祭りに有名なプロヒーローがいれば誰だって驚くだろう。私が行きたいって言ったからだけど、こういう事になるかもってちゃんと考えて言うべきだった。
「……はぁ」
その時、ザッと足音が聞こえ焦凍さんが来たんだと思い振り返る。
「あ、焦凍さ………え？」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1524人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なんだよたけしビビってんのか(プロフ) - 全作品絵が本当に美しくて初めて絵で感動しました。また伏線が所々あってその上感動するなんて天才... (2021年5月23日 2時) (
レス) id: dfdea40777 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - タイトルの絵もなんかアニメ「ＰＳＹＣＨＯ-PATH」に絵柄が似てて感動。しかも、物語にもなんか感動した。 (2019年9月14日 0時) (レス) id: 2712192e09 (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 終わり方最高です……！泣いた (2019年4月13日 21時) (レス) id: 4ab93c79dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾌｧｱｱｱｱ(プロフ) - 絵がちょくちょく入ってくることによりなんか映画のワンシーンでも見ている気になりますね (2018年9月8日 15時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
トミ - すごく吸い込まれるようなお話で…次を読むのが楽しいです。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 3237980cf6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月29日 17時
