第３２話 ページ35
第３２話
「なんか、思ったよりも凄いですね」
「そうだな……で、どこから見てまわる？」
夏祭り当日の８月中旬、いざ夏祭りに来てみると想像してたよりも賑わっていて驚いた。地元のお祭りレベルって聞いてたけど、これが普通なのかな。
人が多い所に来るのは久しぶりで少し緊張する。私の個性にあてられる人とか…居なければいいけど。
「あの、じゃあ…金魚すくいとか？」
「ふっ…なんで疑問形なんだ。お前の行きてぇところには全部行く、勿論俺も一緒に」
「……はい」
私が焦凍さんと一緒に来たいって言ったから、彼はそれを尊重してくれてるんだろう。こういうさり気ない優しさに、私も胸がじんわりと熱くなった。
金魚すくいの屋台に行くと、綺麗な金魚が沢山泳いでいて少し感動する。金魚すくいなんて初めてだ…上手く獲れる気はしないけど。
焦凍さんが屋台のおじさんにお金を払うと、私におじさんから貰ったポイを差し出す。
「焦凍さんはやった事ありますか？」
「いや、ねぇな…初めてだ」
２人でしゃがみ込み、私はどれにしようかと少し悩んだ末…とりあえず金魚が大量に集中している所にスッと手を入れる。
すると、私のポイの上に黒い金魚がやって来てゆっくりと引き上げてみる…が、紙が破れてしまい金魚も逃げてしまった。思ったよりも難しいんだな。
焦凍さんはどうなっただろう、と横を見てみると「おっ…」と小さく声を上げ一匹捕まえる。
「わっ、凄いですね」
「偶然だけどな」
結局捕れたのは一匹で、私は少し残念な気もするけど楽しかったからまあいいか…と思い立ち上がる。
「A、これやる」
「え…？」
驚く私に焦凍さんは自分が捕った金魚を差し出してきて「でも…」と私が言うと「お前のために捕ったつもりなんだが、いらねぇか？」と首を傾げる。
焦凍さんの言葉に息が詰まりそうになって、直ぐに首を横に振り「ありがとう、ございます…」と受け取りながら薄ら微笑んだ。
そんな私に焦凍さんも少し微笑み私の手を握る。
「じゃあ、次行くか」
「なら、次は焦凍さんの行きたい所で」
「俺の行きたい所か…」
そう言って歩きながら焦凍さんが屋台を見舞わしていると、徐にピタリと足を止める。
不思議に思い私も足を止めて焦凍さんを見ると、彼はスッと真剣な顔で目を細め「ちょっとここで待ってろ」と言い走っていった。
どうしたんだろう…？
．
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なんだよたけしビビってんのか(プロフ) - 全作品絵が本当に美しくて初めて絵で感動しました。また伏線が所々あってその上感動するなんて天才... (2021年5月23日 2時) (
レス) id: dfdea40777 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - タイトルの絵もなんかアニメ「ＰＳＹＣＨＯ-PATH」に絵柄が似てて感動。しかも、物語にもなんか感動した。 (2019年9月14日 0時) (レス) id: 2712192e09 (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 終わり方最高です……！泣いた (2019年4月13日 21時) (レス) id: 4ab93c79dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾌｧｱｱｱｱ(プロフ) - 絵がちょくちょく入ってくることによりなんか映画のワンシーンでも見ている気になりますね (2018年9月8日 15時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
トミ - すごく吸い込まれるようなお話で…次を読むのが楽しいです。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 3237980cf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月29日 17時
