第１０話 ページ12
第１０話
「俺はちゃんと、お前の気持ちを知りてぇんだ」
真っ直ぐで偽りのない言葉と瞳。
その言葉と瞳からは、逃げられないと思った。こんなに真剣に私を見てくれる人は初めてだ。
「………すみません」
「それで、何考えてた？」
「分からなくて。ただ住まわせてもらうだけなのは申し訳ないから、何かした方がいいんだろうけど、勝手な事をすれば迷惑かけるかも…って」
「もうここはお前の家でもあるんだから、何しても怒ったりしねぇ。遠慮される方がちょっと心配になる。無理に直ぐ慣れろとは言わねぇけどな」
「……はい」
そう言うと焦凍さんはゆっくり私から手を離し「じゃあ家ん中、案内する」と言って薄く微笑んだ。
私の頬にはまだ焦凍さんの温もりが残ってる。それは暖かくて、でも少し…不安だ。私にこうやって触れる度、話す度、焦凍さんに私の個性が感染していくんじゃないかって。
焦凍さんはサイコパスにならない自信があるのかもしれないけど、絶対ならないとは言いきれない。今まで私に深く関わってサイコパスにならなかった人は…１人も居ないんだから。
「で、ここが風呂場。シャンプーとかに拘りがあるなら言ってくれ。手が空いた時に買ってくるから」
「拘りはないので大丈夫です」
「じゃあ次だな…次は」
「あ……あの、焦凍さん」
淡々と家の中を案内してくれる焦凍さんを呼び止めると、彼は首を傾げながら振り返る。
家に連れてこられる間もずっと考えてた。言わなくていい事なのかもしれないけど、焦凍さんの身の安全を考えたら言うべきだと思う。
だから私はゆっくり口を開いた。
「もしかして……焦凍さんはもう、私の個性に感染してるんじゃないですか？」
私の言葉の意味が分からなかったのか「どういう意味だ？」と焦凍さんが真剣な顔で私を見る。
「焦凍さんがどんな理由で私を引き取ってくれたのかは分からないです、けど……やっぱり少し異常だと思って」
「異常…？」
私の個性は確かに負の感情や悪い考えをもつ人間に効きやすい。だが、だからと言って普通の人間には感染しない訳じゃない。
負の感情じゃなくとも、悪い考えじゃなくとも、相手の『欲』を増幅させる。それが私の個性だ。
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なんだよたけしビビってんのか(プロフ) - 全作品絵が本当に美しくて初めて絵で感動しました。また伏線が所々あってその上感動するなんて天才... (2021年5月23日 2時) (
レス) id: dfdea40777 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - タイトルの絵もなんかアニメ「ＰＳＹＣＨＯ-PATH」に絵柄が似てて感動。しかも、物語にもなんか感動した。 (2019年9月14日 0時) (レス) id: 2712192e09 (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 終わり方最高です……！泣いた (2019年4月13日 21時) (レス) id: 4ab93c79dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾌｧｱｱｱｱ(プロフ) - 絵がちょくちょく入ってくることによりなんか映画のワンシーンでも見ている気になりますね (2018年9月8日 15時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
トミ - すごく吸い込まれるようなお話で…次を読むのが楽しいです。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 3237980cf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月29日 17時
