第４０話 ページ43
第４０話
ああ、情けねぇな。
俺の肩にもたれかかり寝てしまったAを横抱きに持ち上げ、Aの部屋に連れて行く。そっと布団に下ろし掛け布団をかけると、俺は小さく溜息を吐いた。
あんなに感情的になったAを初めて見た。珍しく声を張り上げ、苦しそうな顔をして。
心配かけまいと上手く誤魔化してたつもりで、心配しなくていいと言えばAも気にしないだろうって思ってた。こいつは、そういう奴だから。
でも…
『確かな情があるから…もう、前みたいに、私はあなたに対して無関心ではいられないんですよ…！？』
あんな風に、思ってくれてたなんて。
心配かけてしまって悪ぃと思うのに、溜め込ませてしまって悪ぃと思うのに、その言葉を聞けたことがどうしようもなく嬉しいと思った。
一時だけのただの家族という認識のされ方じゃなく、ちゃんと大事に思っているのは……もう、俺だけじゃねぇのか。
悲しい思いをさせちまったのは、やっぱり悪かったな。今度なにかお詫びしてやらねぇと。
『手を差し伸べてくれたのが…私を拾ってくれたのが、あなたでよかったと…そう、思えます』
さっきのAの言葉を思い出し胸がギュッと締め付けられる。さっきもこの感覚になって、隣に座るAの体温をもっとしっかり感じたくなった。
ああ…俺もそう思う。
お前を拾ってよかったと、そう思える。
「………この生活が、終わらなきゃいいのにな」
自然と出た言葉。
春までなんてあっという間だろう。
なんでか、それは少し…寂しい。
これは親離れする子供に対する気持ち、みてぇなもんなんだろうか。よく分かんねぇけど初めての気持ちだ。お前といると…俺も初めての感覚をよく味わう。
「………A」
寝ているAの手を起こさないようにそっと握る。俺よりも小さくて、細くて、繊細な手。すると、Aが握っていた手を弱々しく握り返してきた。
俺の心臓がトクンッ…と跳ねる。
だから勝手に体が動いて、
そっと、Aの唇に
自分の唇を重ねた。
ゆっくり口を離し
自分の唇を指で拭いながらAを見下ろす。
なんでこんな事したのか自分でも分からねぇ。
．
．
でも、この時は…ただ
Aを見ていたら
“なぜか我慢できなかった”
〜 To be continued 〜
．
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なんだよたけしビビってんのか(プロフ) - 全作品絵が本当に美しくて初めて絵で感動しました。また伏線が所々あってその上感動するなんて天才... (2021年5月23日 2時) (
レス) id: dfdea40777 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - タイトルの絵もなんかアニメ「ＰＳＹＣＨＯ-PATH」に絵柄が似てて感動。しかも、物語にもなんか感動した。 (2019年9月14日 0時) (レス) id: 2712192e09 (このIDを非表示/違反報告)
るみ - 終わり方最高です……！泣いた (2019年4月13日 21時) (レス) id: 4ab93c79dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾌｧｱｱｱｱ(プロフ) - 絵がちょくちょく入ってくることによりなんか映画のワンシーンでも見ている気になりますね (2018年9月8日 15時) (レス) id: 01f6b2b9ab (このIDを非表示/違反報告)
トミ - すごく吸い込まれるようなお話で…次を読むのが楽しいです。 (2018年6月30日 23時) (レス) id: 3237980cf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年5月29日 17時
