第１１４話 ページ34
第１１４話
(閲覧注意。過激な描写が含まれます)
私を中心に電気が走った様だった。
あるいは音のない超音波の様な
あるいは空気圧の波
何れにせよ、空気が震えたのだ。
目に光がなく、それは正しくサイコパスの瞳。何度も見てきた…見間違える事なんてない。
だけど、なんでいきなり…。
「なっ…なんなんだテメェら急に！！」
ジリジリと近寄ってくる皆に犯人が銃口を向けながら「止まれ！！」と叫ぶが、そんな声は届いていないかの様に全員がいっせいに犯人へ飛びついた。
なんの勝算もなく、ただただ犯人という命を狩る理性を失った獣のようだ。
「くっそぉぉぉ！！！」
襲いかかってくる人達に犯人は拳銃の引き金を引いた。鳴り響く破裂音と、弾丸が体に撃ち込まれ次々に倒れていく人々。
血が吹き出し私の顔にベシャッ…と飛び散る。壁も床も天井も、赤く、赤黒く染まった。
人が次々と死んでいく。
あの時からだ…
皆が『生に対する執着』で理性を失い、犯人を殺してでも生きなければと思ったのは。
私を中心に妙な空気の変化があった、あの時。
「…………まさか」
あの時、確かに私の中で感情が爆発した。
心臓が大きく揺れるような感覚と共に。
皆、私に注目していた。
そっと…ガラスに映る自分を見る。
「ッ……」
光っているようにも見える、私の赤い目。
実際に光ってなんかいない。
だけど、自分で見ても…自分の瞳が怖く感じた。
私の個性はサイコパス。
人を無差別にサイコパスにしてしまう。極度の緊張状態でストレスが限界だった皆は、あの時私に注目していた。
そして私を中心に空気が震えた。
「ママぁ…ママぁ…」
「っ！？」
子供の泣き声が聞こえハッとする。殺し合いが行われている中心でうずくまる子供に「早くこっちへ…！」と手を伸ばした。
私に気がついた子供は涙でクシャクシャになりながら、私にその小さな手を伸ばす。
だが、流れ弾が子供の頭蓋を貫通した。子供は私の前でパタリ倒れ、子供から吹き出した血が雨のように私に降り注いだ。
「ッ〜〜〜！！」
最後の一人が近くにあった鈍器で犯人の頭を強く殴るが、同時に犯人も彼に銃弾を撃ち込み相打ちで二人は倒れる。
一気に静かになった赤い空間で、息をしているのは私だけだった。
床に手をつくと水溜まりの様に床を埋め尽くす血でヌルッと滑り、上手く立つことも出来ない。
呆然と…私はその場に座り込んでいた。
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m(プロフ) - 本当に素晴らしく感動して涙が出ました。素敵な作品、素敵なイラストありがとうございました。 (2021年8月30日 17時) (
レス) id: 2635dac9cc (このIDを非表示/違反報告)
Yuu(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございます。ここ三年間くらい感動することは久しく無かったのですが、久しぶりに感動しました。ありがとうございます。 (2021年6月22日 21時) (レス) id: 375d648123 (このIDを非表示/違反報告)
名無し8446号(プロフ) - ガチで泣きました。 (2021年5月28日 14時) (レス) id: 300e87c18e (このIDを非表示/違反報告)
おーしゃんびゅー(プロフ) - (続き)作品がいいオチな分、考察が止まらず恐ろしいことを考えてしまいました(笑)長々と失礼しました。 (2020年11月22日 20時) (レス) id: 8df8463d93 (このIDを非表示/違反報告)
おーしゃんびゅー(プロフ) - (続き)夢主の個性によって轟くんの欲が増幅→夢主と逃げる→夢主が死ぬと考えると、個性によってサイコパスにならなければそのまま病院にいて、夢主は死ななかったのでは？と考えました。そうなると夢主の個性＝不幸にするということになり、振り出しに戻ります。 (2020年11月22日 20時) (レス) id: 8df8463d93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月17日 10時
