第１００話 ページ20
第１００話
「おかえりなさい、焦凍さん」
「遅くなって悪ぃ…すぐ飯作るからな」
いつも通り仕事を終えた焦凍さんが腕捲りをしながらキッチンへ向かう。そんな焦凍さんの後ろ姿に私はなんと言えばいいのか分からなくなる。
本当に、いつも通りで…。
世間で自分の恋愛報道をされていることに気がついていないのか、気がついていながら気にはしていないのか。それとも、私に悟られないようにしているのか。いずれにしても焦凍さんからそれについて話してくれることはない気がする。
「……焦凍さん」
「なんだ？飯ならまだだぞ」
でも、私は気にしていないフリなんて出来ないから。
「焦凍さん、私に話せないことってありますか？」
恋人さんのこと…私には話せないんだろうか。
私の唐突な質問に焦凍さんが包丁を握っていた手を止めゆっくりと振り返る。焦凍さんは質問の意味を考えているのか、少しの沈黙のあとゆっくりと口を開いた。
「…………ああ」
短い返事に、私の息がフッと詰まる。
そうか…話せないことがあるのか。
恋人がいるというのは、本当なのか…。
再び私に背を向け握っていた包丁をトントンッと規則的に動かし料理を再開した。元々多くを語らない人ではあるが、その無言の背中を見ていると酷く胸が痛む。
すると突然、インターホンの音が家に鳴り響いた。
インターホンの音で料理をしていた手を止める焦凍さんに「…私が、出ます」とそれを口実にその場から逃げるように去る。なぜだかあのまま焦凍さんの背中を見ているのが耐えられなかったから。
玄関へ向かうと宅配便が来たようで、宅配してくれたお兄さんに言われるがままサインをして荷物を受け取る。そんなに大きくもない箱だ…焦凍さんの仕事関係だろうか。
役目を終え去っていく宅配便のお兄さんを見送り玄関をしめ、その大きくもない箱に目を移す。てっきり焦凍さん宛だと思っていたその荷物には、宛先に私の名前が記載されていた。
私宛に宅配便が来るなんて…珍しい。
送り主は記載されていない。
「………誰からなんだろう」
不思議に思いながらその場で箱を開けてみる。
「…っ！？」
箱に入っていたのは、大量の写真。
それも全て私の写真で…写真のアングルからして盗撮されたもの。
そして『死ね』という二文字が描かれた
黒い手紙が添えられていた。
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m(プロフ) - 本当に素晴らしく感動して涙が出ました。素敵な作品、素敵なイラストありがとうございました。 (2021年8月30日 17時) (
レス) id: 2635dac9cc (このIDを非表示/違反報告)
Yuu(プロフ) - 素晴らしい作品をありがとうございます。ここ三年間くらい感動することは久しく無かったのですが、久しぶりに感動しました。ありがとうございます。 (2021年6月22日 21時) (レス) id: 375d648123 (このIDを非表示/違反報告)
名無し8446号(プロフ) - ガチで泣きました。 (2021年5月28日 14時) (レス) id: 300e87c18e (このIDを非表示/違反報告)
おーしゃんびゅー(プロフ) - (続き)作品がいいオチな分、考察が止まらず恐ろしいことを考えてしまいました(笑)長々と失礼しました。 (2020年11月22日 20時) (レス) id: 8df8463d93 (このIDを非表示/違反報告)
おーしゃんびゅー(プロフ) - (続き)夢主の個性によって轟くんの欲が増幅→夢主と逃げる→夢主が死ぬと考えると、個性によってサイコパスにならなければそのまま病院にいて、夢主は死ななかったのでは？と考えました。そうなると夢主の個性＝不幸にするということになり、振り出しに戻ります。 (2020年11月22日 20時) (レス) id: 8df8463d93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月17日 10時
