第４９話 ページ9
第４９話
ゆっくりと目を開けると、ひんやりとする硬い床の感覚に何となく状況を直ぐ理解することが出来た。辺りは薄暗く…此処がどこかの部屋だということは分かるが、逆に言えばそれしか分からない。
体を起こすと後頭部にズキリとした痛みが走る。そうだ…私は焦凍さんと電話をしながら帰っていて、そしたら急に背後から誰かに襲われたんだ。
そして、自分が拉致されたんだと言うことを驚くほど冷静に判断できていた。
ポケットを探ってみるが案の定、携帯は見当たらない。襲われた衝撃で落としてしまったからだろう。急に電話が切れたから焦凍さんも心配してるかな。
…で、ここはどこなんだろうか。
そんな事を考えていると、突然ガチャッと重そうな扉が開き人が入ってくる。暗いせいで相手の顔がよく見えなくて、なんというか…少し怖い。
身構える私に「なんだ、起きたのか」と言いながら近付いてくる。どことなく聞き覚えのある声に胸がザワつき、目を凝らして相手をよく見てみると…。
「ああでも、やっと斎藤とゆっくり話せるな」
「……藤堂先生？」
目の前に居たのは間違いなく藤堂先生。じゃあ私を襲ったのも藤堂先生ってこと、だよね。どうして先生が私を？
少し混乱してしまう私を察したのか先生は「あの時の電話、ショートだったんだろ？」と口を開く。
「何の話をしてたのか知らないが、お前はあの時ショートに俺の事を聞かれたような話し方をしていたからな。きっともう俺の事がバレてんだ…警察にも、ヒーローにも」
「……先生、なにを」
「ほら、学校で話したろ。最近ここら辺で起きてる女子高生連続誘拐事件のこと」
「っ…まさか」
「流石にここまで言えば察しがつくよな。そう、俺がその犯人。そしてお前はこれから、俺の作品になるんだ」
先生が女子高生連続誘拐事件の犯人？
俄に信じ難い事なのに、この状況や先生の異様な雰囲気を目の前にして酷く納得してしまう。「作品って…」と私が小さく呟くと、先生はニヤリと口元に弧を描き部屋の電気をパッと着けた。
「っ…！！」
明るくなった部屋の光景に、私は思わず息をするのを忘れる。壁は全て赤いペンキで塗り潰されており、置いてある家具も全て赤いもの。
そして……ガラスケースに入れられ壁際に飾られた数個もの、いや、数人もの生首。暗くて見えなかったとはいえ私はずっとこんな部屋に居たのか。
「素晴らしい部屋だろう？」
．
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
