第８０話 ページ40
第８０話
「はい、じゃあ…失礼します」
そう言って電話を切ると俺は短く溜息を吐いた。吐いた息は白く濁り、見上げると雪がゆっくりと降って俺の肌に落ちて溶ける。
Aは今日の事を…クリスマスをちゃんと思い出作り出来ただろうか。
プレゼントはいらねぇって言われたし、でも、今日の時間が充分プレゼントだって言われたのは素直に嬉しい。自惚れていいんだよな、楽しんでくれたって。
俺も、Aと過ごしたクリスマスは楽しかった。だから来年も一緒に居たくて、約束を取り付けた。
「……来年、か」
あと３ヶ月でAは高校を卒業する。
つまり、俺の家にいるのは後３ヶ月だけって事になる。Aが居なくなってからはまた去年と同じ様な生活に戻るのか。なんか、それは少し…寂しいな。
春までなんてあっという間だ。
Aは俺の家を出ても、ちゃんと俺と関わってくれるだろうか。保証がないってだけでこんなにも不安になる。大丈夫だよな…別々の暮らしになったって関係は何も変わらねぇよな。
ああ、この生活が終わって欲しくねぇ。
Aにとって俺は…
「俺は、アイツにとって何だ？」
やっぱり家族か？
俺の家を出ていっても、家族って言ってくれるだろうか。今の俺にとってAは何よりも優先すべき、大切な奴だ。ならアイツは俺の事をどう思ってるんだろう。
『……私の、一番大切な人は』
聞きそびれちまったな。
俺であって欲しいと思うのは、我儘だろうか。
そう思いながら居酒屋の扉を開け、俺は目の前の光景を見て目を見開き固まった。一番奥の広い部屋の端っこにいる、A達が見える。
Aは爆豪と何かを話し、爆豪がAの頭を少しだけ撫で…そして、Aは恥ずかしそうに頬を赤らめながら笑っていた。
「っ………」
ちょっと、待て。
なんでAは照れてるんだ？
笑う事も少ない、あのAが
爆豪に撫でられただけで、
嬉しそうに笑いながら照れてる？
俺がいつも撫でる時は、普通なのに。
Aのあんな顔、俺は見た事ねぇ。
頭が真っ白になっていく。
なんで、A…
．
．
じゃあ、あの時言いかけた
Aの一番大切な奴って、まさか…
俺の中で
何かが壊れる音がした。
〜 To be continued 〜
．
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
