第７６話 ページ36
第７６話
クリスマス、当日。
数日前から雪が降り始めていて、外はやっぱり寒い。「ちゃんと暖かくしなきゃな」と言われお互い首にマフラーを巻き家を出た。
約束通り、仕事を休みにしてクリスマスを一緒に過ごしてくれる焦凍さんに胸が暖かくなる。
「焦凍さんも雪とか出せたりするんですか？」
「多少なら出来るだろうけど、やった事ねぇな」
そんな他愛のない話をしながらクリスマス色に彩られた街を並んで歩く。所々に「クリスマス限定ケーキもありますよ〜」とか、他の店に負けじと宣伝を頑張る店員さん達も大変そうだ。
それにしても寒いな…と、私は両手に吐息をかける。すると徐に焦凍さんが私の手を握ってきた。
「寒いなら、手…繋いでおこう」
「…ありがとうございます。どこかで手袋買わないといけませんね」
苦笑いでそう言うと、焦凍さんは「そうだけど…でも」と私を見ながら微笑んだ。
「手袋買ったら手を繋ぐ必要性がなくなるから、なんかちょっと勿体ねぇ気もするけどな」
「っ………」
サラッと、凄いことを言う人だな。
流石に少し恥ずかしい。
「ぁ…え、と……手袋してても、普通に手を繋げばいいと思います、けど」
「それもそうだな。別に手袋は関係ねぇのか」
ならよかった、と焦凍さんは手を握る力を少しだけ強くする。そんな彼に胸がぎゅうっと締め付けられた。この感覚は少し前からある。
心臓か肺あたりが締め付けられて、でも体はなぜかフワフワした感じになって。それが嬉しいという感情から来るものだんだと理解してるけど、本当にそれだけなんだろうか。
普通に嬉しい時とは、少し違うような。
「カップル限定割引きやってま〜す、そこのお２人もよかったらどうですか？」
「ぇ……」
パステルカラーの店の前でサンタの服を着た店員さんが私達に声をかけてくる。焦凍さんは「いや、大丈夫です」と小さく会釈をして断った。
少しびっくりしたな。
周りの人達を見渡せば、確かにカップルらしき人達も多くて。私達も傍から見たら…恋人同士に見えるって事だろうか。
焦凍さんと、恋人同士に…。
チラッと隣に歩く焦凍さんを見上げる。私の視線に気がついた焦凍さんが「どうした？」と首を傾げた。
「…………いえ」
どうしてだろう。
周りにそう勘違いされても
全然、嫌な気はしない。
寧ろ…なぜか少しだけ
照れくさいのに、心がフワッとする。
．
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
