第４３話 ページ3
第４３話
特別重たくもない鞄を持ち席を立つ。二学期が始まってもいつも通りの教室、いつも通りの空気、いつも通りの生徒。
「うわ、疫病神だ」
「あんま見んなよ…サイコパスにされんぞ」
いつも通りの風景。
教室を出ようとしたがドアの前に屯する男子生徒達にどうしていいか分からず、俯きながらグッと鞄を持つ手に力を入れる。
焦凍さんは私に人と関わることに慣れろと言っていたけど、私の個性を知っている人達は私と関わろうとしない。それは仕方のないこと、誰だってサイコパスになるのは嫌だから。
「俺知ってる、コイツの両親はコイツの個性のせいで狂ったって。父親が犯罪者で母親は首吊りしたらしいぜ」
「なにそれ、やっば」
ケラケラと笑う彼等に「……通して」と小さな声で言うと「話しかけてきた！サイコパスにされる〜」とふざけて遊んでいる。
周りの人達も「また男子が遊んでる」とクスクス笑ってさほど興味もなさそうに見ていた。いじめられている訳じゃなく、からかわれているだけ。
直接的に何かされた事はない。どの学校にも、どのクラスにも、意味もなく馬鹿にされる人はいる。この学校では、このクラスでは私が標的ってだけだ。
「こらお前ら何やってる！」
「やべ、センコーだ！！」
たまたま通りがかった生徒指導の…名前は思い出せないけど、先生が男子生徒達を注意し彼らは逃げるように帰っていった。
内心ホッと胸を撫で下ろしながら「…ありがとうございます」と頭を下げる。
「生徒指導としては見過ごせないからな」
「…そう、ですか」
いかにも熱血という感じの、どこにでもいる普通の先生。教師としてはこういう場面をみたら、ああして声をかけるのは普通だ。
「気をつけて帰れよ」と言う先生にもう一度小さく頭を下げ私は学校を後にした。
夕日に染まるオレンジ色の住宅街を一人で歩いて帰るのを寂しいとは思わない。ただ、誰かと一緒に帰るというのは…どんな感じなんだろうか。
犬を飼っている家の前を通ると、決まって私は険しい表情で吠えられた。昔から動物には好かれない。犬も猫も近づけば吠えるか逃げる。画像とかテレビとかで見ると可愛いのに。
毛並みもフワフワそうで、触ってみたいと思う。触らせてくれる動物はいないけど。
焦凍さんは動物って好きなのかな。今のところ、焦凍さんの好きな物は蕎麦って事しか知らない。
……好きな物、か。
．
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
