第６０話 ページ20
第６０話
翌日、ガタンゴトンッ…と揺れる電車の中で人の多さに潰されそうになりながら私は外を眺めていた。朝の満員電車ってやっぱり苦手だ。
私は丁度端っこの窓側だから良かったものの、人と人に挟まれるのって嫌だから。今は窓と人に挟まれて潰れそうだけど。
そんな事を思いながら窓の外を眺めていた、その時。突然私の体がピシッと動かなくなり頭が真っ白になる。なんで急に体が…声も出せない。
すると私の下半身を何かが這っている事に気がつく。恐らくこれは、人の手だ。
「っ………」
なるほど、痴漢ってやつか。
体が動かないのは相手の個性なのかな。周りの人も気づいてないだろうし、これは相手がやめるまで私にはどうしようも出来ない。
私の太ももを撫でる手が徐々に上へ上がっていく。その感覚に抵抗も出来ない私は嫌悪感を感じつつも、完成に諦めモードでそっと目を伏せる。
ああ、早く終われ。
「あれ？お前って確か轟んとこの…」
急に声をかけられハッとする。明らかに私に向かって話しかけているのは分かるけど、動けないから振り向く事も出来ない。
私の体を這いずる手もピタリと止まり、恐らくヤバいと思っているんだろう。でも手を引かないって事は…この個性は触っている時にしか発動しないのかな。
手を離して個性が解除されれば私が騒ぐと思って、多分引くに引けないんだ。
「えっと、悪ぃ…もしかして人違い？」
私が何も反応しないから話しかけて来た人は気まずそうにする。このままじゃ人違いだと思って離れていく、どうしたらいいんだろう。
「………なんか、顔色悪くね？大丈夫か？」
いくらなんでも私の様子がおかしい事に気がついたのか、彼は少し声のトーンを下げた。そして暫くの沈黙のあと、私の体をまさぐっていた手が離れ私もフッと体が動かせるようになる。
振り向いてみると、金髪の男性がサラリーマンの男の腕を掴んでいた。
「おい、この手なんだよ」
「お、俺は何も！」
「嘘つけ…バリバリ触ってたろ、この子を。男として女子高生に興味持つのは分かっけど、無理矢理触んのは最低だぜ」
私も含め周囲の人が唖然とする中、金髪の彼は険しい顔でサラリーマンの男性の腕を締め上げると、次の駅で「ほら、駅員さんとこ行くぞ」と男性を引きずり下ろす。
私も慌てて降りて着いて行った。
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
