第４２話 ページ2
第４２話
「っ、は……！？」
勢いよく目を開けると見慣れた天井が私の視界を埋めつくしていた。乱れる呼吸を整えようと目を瞑り深い深呼吸をする。次第に呼吸が安定してきて、私はゆっくり体を起こした。
額から頬へ、そして輪郭をなぞるように冷や汗が流れる。なんだが寒気がしてしまい私は眉間にシワを寄せた。
「………はぁ」
凄く怖い夢を見ていた、気がする。
でもどんな夢だったのかが思い出せない。ただ怖くて怖くて、なぜか少しだけ…悲しかった。一体何の夢を見ていたんだろう。
ふと顔を上げると電気はついていないのに朝日のおかげで部屋は明るく、もう朝なんだな…と思いながら立ち上がり部屋着から学校の制服に着替えた。
高校生活最後の夏休みもとうに終わり、夏祭りの一件から１ヶ月以上も経った９月下旬。少しだけ夜は肌寒くなってき始めたけど、日中はまだポカポカしている。
まだ少しだけ眠たい目を擦りながら顔を洗おうと洗面台がある場所へ向かう。すると、そこには先客がいて…私の足音に気がついた彼がゆっくり振り向いた。
「A……おはよ」
「あ、おはようございます…焦凍さん」
焦凍さんは顔を洗いタオルで拭くと、私に近づいて少し目を細めた。そして不思議そうにしながら私の頬にそっと手を添えてくる。
水を触っていたせいで、少し冷たいけど…ちょっとこの冷たさは気持ちいい。
「お前、なんか顔色悪くねぇか？」
「え……そう、ですかね」
「どっか体調悪ぃのか？」
そう言いながら焦凍さんは私の頬に添えていた手を額に移動させる。ああ、やっぱりひんやりしてて気持ちいいな。
「熱は…なさそうだな」
「あ、あの…多分顔色が悪いのは夢のせいで」
「夢…？」
「どんな夢だったかは思い出せないんですけど、なんか凄い怖いのは覚えてて…」
俯きながら答える私の声がどんどん小さくなっていく。思い出そうと必死に頭を回してみるが、やっぱり思い出せなかった。
ただどうしようもなく怖いという事と、なぜか悲しいという事しか分からない。
「A、無理に思い出そうとするな」
「え…？」
「言葉にして口に出すと、人はそれらを忘れにくくなる。だから怖い夢はなるべく人に話したりしない方がいい。その方がすんなり忘れられるからな」
そっか、怖い夢なら忘れてしまえって事か。
でも、この夢は本当に
忘れてしまっていいもの…？
少し胸がザワつくのは
…どうしてなんだろう。
．
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風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
