第６２話 ページ22
第６２話
「……A、まだ起きてたのか」
夜になりお風呂から上がった焦凍さんがリビングに戻ってくるなり、座ってテレビを見ている私を見てそう言った。
もう深夜０時をまわろうとしているのに、今日の私は何故か目が冴えている。あまり遅くなると朝起きれなくなるから、早く寝た方がいいのは分かってるんだけど。
「…眠たくなくて」と答える私の隣に、焦凍さんが濡れた髪をタオルで拭きながら座ってくる。
「まあ…無理に寝ろとは言わねぇけど、夜更かしは程々にな。そういえば、寝れねぇ時は暖かい飲み物とか飲むといいらしい」
「ホットミルクとかが有名ですよね」
「作ってやろうか？」
「あ…いえ、大丈夫です」
そうか、と私に向けていた視線を流れるテレビに向ける焦凍さん。私もテレビに目を向けるが、話の内容が全然分からない。今日初めて見るドラマだから。
眠くなるまでの単なる暇潰し程度に見ていたドラマは、今流行りの恋愛ドラマなんだとか。私も焦凍さんもテレビにさほど興味がないから、流行りとかってイマイチ分かってないけど。
年頃の女子高生なら、普通はこういうのを見て有名なキュンキュンと呼ばれるものをするんだろうか。その感覚は正直分からない。
「……焦凍さんってお付き合いしている人とか好きな女性って居ないんですか？」
「唐突だな、いねぇけど。なんでいきなりそんな事聞くんだ？」
「すみません…特に何の意図もない質問でした。でも答えてくれるんですね」
「別に隠す理由がねぇからな。そういう系統の話、俺に聞いても面白い答えはねぇぞ」
それは焦凍さんが誰とも付き合った事がないって意味なんだろう。確かに、焦凍さんってそういうイメージないかも。
世間の女の子は焦凍さんを男性として好きな人も多いと聞くのに、当の本人は興味なしって感じなのか。
「……そういうお前は、居ねぇのか？」
「え？」
「学校とかに、好きな奴とか」
「いえ、いませんよ」
まともな友達すらいないのに。
すると、テレビで主人公とヒロインが涙を流しながら口付けを交わしていた。視聴者の涙を誘うようなわざとらしいBGM、映像の編集。
でも私には何も響かない。そもそもこのドラマ見るの初めてだからなぁ。
「あれ…この２人ってまだ恋人じゃなかった気が」
「そうなのか？」
「だったと思います。恋人じゃなくてもキスをしたりするんですね」
「まあ、お互い好きならするんじゃねぇか？」
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1322人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
風鈴 - 誤字ってますが気にしないでください。「いままだ」になってますが正しくは「いままで」です！すいません。 (2021年11月27日 23時) (
レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
風鈴 - めっちゃ好きです！イラストもとても好きです!!何時もつづきをわくわくしながら見させてもらってます。あと、他の作者様に失礼なのですが、いままだ見て来た小説でこの作品がいちばん好きです。勿論他の方の作品も大好きです！長文失礼しました。 (2021年11月27日 23時) (レス) id: 19b3aa7f76 (このIDを非表示/違反報告)
花 - シリアスの中にも"愛"が詰まってる感じで良き (2021年5月19日 20時) (レス) id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
ひめたん - 好み過ぎる (2018年9月5日 23時) (レス) id: 6ef00c8f07 (このIDを非表示/違反報告)
ららら(プロフ) - 絵が、！！！すごい好みです！！！漫画書いてほしいくらいです、、笑頑張ってください！！ (2018年6月18日 17時) (レス) id: 67811c0872 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：NAOKI
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/naoki-/
作成日時：2018年6月3日 18時
