【及川 徹】親愛なるセッター様へ【男主】

ろく 影山side ページ7

東峰さんと西谷さんが戻ってきてさらにＩＨに向けてバレーに打ち込めると思って気合を入れて体育館に向かおうとした矢先、山口から聞かされたのは体育館の点検があるから部活は休みだという連絡。
体育館が使えないならいっそ休みを、ってのはよくある話だ。
けど俺は一日たりともバレーを休むわけにはいかない。


近くの体育館を借りようと学校でジャージに着替えてから近くの体育館へ向かっている途中、見覚えのある背中を見つけた。

一か八かで声をかけてみれば俺の記憶通り、北一の頃世話になった網張さんだった。
網張さんも学校帰りだったのか制服を着ていて、俺を見て驚いたように目を見開いた。
青城との練習試合の時はいなかったけどやっぱり青城だったんだな。なんで練習試合の時はいなかったんだ。

…いや、今はそんなことどうでもいい。
俺が知りたいのは網張さんがどれだけ強くなったのか。

中学のときですら強かった網張さんが高校でどれだけ成長したのかずっと気になってた。
及川さんのサーブだって凄かったし、岩泉さんのスパイクも凄かった。
それなら網張さんだって、強くなってるはず。



網張さんと一緒に体育館に向かうと、運良く飛び入りで借りることが出来た。
貸し出しているボールを運び、ネットを張る。網
張さんが制服から運動着に着替えに行っている間に出来ることを進めた。



「…よし」



俺がネットを張り終えるのと同時に、キュ、とシューズの音が後ろから聞こえてくる。
その音に振り向けば、練習着に身を包んだ網張さんがいた。



「もう張り終わった？はやいね」
「うす、なにからやりますか」
「…うん、それなんだけどね」



ボールに慣れるところから始めてもいいかな、と笑う網張さん。
ボールに慣れるところ、っていう意味がわからずにいると、網張さんは先にサーブ練をしていて欲しいと言った。

網張さんの言葉の意味がわからないまま背中を押され、エンドラインへと運ばれる。
当の網張さんは言葉の通り俺の近くの壁際でバレーボールを触り始めた。

…よくわかんねぇけど、サーブ練の後で聞けばいいか。

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