にじゅうさん ページ24
Aはやる気に満ちた目をしながら及川と岩泉を見つめる。
とにかくやらなければ。
何ができて、何ができないのかを知らないうちには何も出来ない。
そう告げれば、2人は顔を見合せて頷いた。
まず岩泉が提案したのはコートに立たずに行えるバレーの練習。
つまり軽いボール回しから。
3人で円になり、ひたすらにボールをレシーブやトスで回していくだけ。
コートもネットも必要ない。
単純な動作だけのこの練習でAの体が拒絶するのか否かを試すことにした。
いざ、と3人ともまるで試合前のような真剣な面持ちで始める。
いつAの顔色が変わるかと心配していたが、思いのほかストレスなくボールに触れていた。
その上まるで2年前の姿を思い起こさせるほど安定した動作で、ブランクなど感じさせない動きを見せた。
10分ほど繰り返したが特に異常は見られず、レシーブやトスにおいては特にAにとってストレスにはならないと判断した3人は次の段階へと進むことにした。
それはAがバレーをするのではなく、コート上で2人がバレーをするのを眺めるというもの。
以前影山と一緒にいたAが異変を見せたのは影山がコートに立っている姿を見た時だった。
それが今Aにどこまで影響するのか。
それを試すことにした。
「じゃあ、見ててね」
「キツかったらすぐ目閉じろ。無理するなよ」
「ん」
倒れてしまわないように、と座ったAに心配そうな目を向けながら2人はコートへと向かっていく。
そうして始まったスパイク練は、Aにとって無害とは言い難いものだった。
岩泉が飛び上がった時、ぞわりと駆け巡る浮遊感。
だが息が上がるわけでもなく、ほんの少し震えるだけ。
ギュッと両手を握りしめて2人の姿を見つめる。
満足したらしい及川と岩泉はAの様子を見に戻ってくる。
じっと見つめていたからなんともないのかと思っていた2人の目に映ったのはカタカタと震えているAの姿だった。
「っちょっと！大丈夫なの！？」
「目閉じろって言っただろうが！！」
予想以上に不安そうにする2人をみてAはつい笑ってしまう。
くすくすと笑っているAに2人は肩の力を抜きながら心配そうな眼差しを送り続ける。
「ありがとう。でも本当に大丈夫」
ほら、もう落ち着いてる。
そう言って見せた手は、確かに震えが落ち着いていた。
Aはその手をギュッと握りしめ、深呼吸をする。
「…何となく境界線は分かった。ちょっとずつ頑張るよ」
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ゆき(プロフ) - 赤憑さん» うわー！ありがとうございます！直しときます！！！ (2023年4月28日 17時) (
レス) id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - 面白い作品ですね！ところで…あの...ろく影山sideの話のところの西谷の漢字が西ノ谷になってます💦 (2023年4月28日 13時) (レス) @page7 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 天野さん» ずっと！？ありがとうございます！！今度は最後まで書き切りたいと思ってるので気長にお付き合いくださいませ！！！ (2023年3月29日 10時) (レス) @page26 id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
天野(プロフ) - 更新ずっと待ってました！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！ありがとうございます！！！！！！！！！！！！！！ (2023年3月29日 8時) (レス) id: c3ca8d9a5e (このIDを非表示/違反報告)
八雲 - すっごい大好きです頑張って下さい!!!!!!!!!! (2021年8月22日 0時) (レス) id: 34dfb00aa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆき | 作成日時：2021年5月21日 18時
