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それから数週間がたったある日の放課後の教室には、日直としての仕事を進めるAとその仕事を見守っている及川徹がいた。
日直日誌にシャーペンを走らせているAと、つまらなそうに椅子に股がって背もたれに腕を乗せながら日直日誌を覗き込んでいる及川。
最後に一日の感想を書き終える頃、及川はわざとらしく「そうだ、」と声を上げる。


「ねー聞いてよA〜」
「うん?なに?」
「この間烏野と練習試合があったの」
「烏野?」


なんでまた、と返すAに
及川は
以前から練習試合の申し込みを受けていたのだが、なんと及川の可愛い後輩である影山飛雄が烏野に在籍していることが判明したから条件付きで受けた
と説明した。

なるほど、なんて小さく頷けば、及川は腕に顎を置いてムスッと頬を膨らませる。


「なーんか変なチビちゃんがいてさ。変な速攻してくるの!初見で拾うなんてまず無理な速攻!」
「へぇ、じゃあ及川もしてやられたわけ?」
「不覚にも。1歩も動けなかったし。てか無理!チビちゃん目つぶって飛ぶんだもん!!」


目を瞑って飛ぶ。
その言葉にAは目を見開いた。

スパイクを打つ際に目を閉じるなんて想像もつかなかったからだ。
どれだけトスを信頼していたとて、そもそも目を閉じたままスパイク体制になることがどれだけ怖いことか。
有り得ない、と言いたいところだが、及川がそれを目の当たりにしたのだから有り得ているのだろう。


「今はただ突っ込んでくるだけだから慣れればどうにかなるだろうけど、知恵をつけてきたら面倒」
「あぁ、確かに」
「Aがいたら、なんて思うんだけどさ」


突然向かってきた矢印にAは動きを止める。
そのままゆっくりと顔をあげれば、真っ直ぐにAの目を見つめている及川がそこにはいた。


「ねぇ、戻って来れない?」
「…」
「まだ、バレーは出来ない?」
「…うん、ごめん」
「ううん、Aだって辛いよね、ごめん」


じゃあそろそろ部活いくね、と言って及川は席を立つ。
ドアが閉まる音がした後、パタパタとかけていく足音。
その音を聴きながら、Aはゆっくりと瞼を下ろす。

さん 夢主side→←いち 及川side



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ゆき(プロフ) - 赤憑さん» うわー!ありがとうございます!直しときます!!! (2023年4月28日 17時) (レス) id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
赤憑(プロフ) - 面白い作品ですね!ところで…あの...ろく影山sideの話のところの西谷の漢字が西ノ谷になってます💦 (2023年4月28日 13時) (レス) @page7 id: 805737b448 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 天野さん» ずっと!?ありがとうございます!!今度は最後まで書き切りたいと思ってるので気長にお付き合いくださいませ!!! (2023年3月29日 10時) (レス) @page26 id: 1fa030afc2 (このIDを非表示/違反報告)
天野(プロフ) - 更新ずっと待ってました!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!! (2023年3月29日 8時) (レス) id: c3ca8d9a5e (このIDを非表示/違反報告)
八雲 - すっごい大好きです頑張って下さい!!!!!!!!!! (2021年8月22日 0時) (レス) id: 34dfb00aa4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆき | 作成日時:2021年5月21日 18時

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