イキシア (ページ8)

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久堂「……美味いか？」

美世「は、はい。甘くて美味しいです。」

久堂「…あまり美味しいと思っている顔ではないな。」

美世「っそ、そんな事は…」困

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オドオドとしている美世さんと
そんな美世さんを気にしてか言葉に詰まる清霞様

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…そして、黙々と団子を食べる私。

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流石に気まずい空気には耐えられず、

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『美世さんの、お母様はどのような方だったのですか？』

美世「、…」

『あの、先程の着物。＂形見＂とおっしゃっていましたよね？』

久堂「あぁ。斎森のは継母だろう、」

美世「えっと、…」

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何となく気になった事を聞いてみると、
清霞様も気になっていたみたい。

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両親を知らない身からすると、
人の親というものが気になったりする。

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美世「…母は、私が2歳の時に亡くなりました。殆ど記憶にありませんが、…桜色の着物と、長い黒髪だけは覚えています。」

久堂「そうか。お前は母親似なんだな。」

美世「……旦那様とAさんは、どちらに、…？」

久堂「私も母に似ていると言われるが、よくは分からない。」

美世「…分からない、というのは、」

久堂「…社交界の華というべきか…殆ど家に居らず、私はゆり江に育てられたといってもいい。母親の定義は、私には曖昧なものだ。」

美世「ぁ…そうだったんですね、」

『…』

美世「…、」

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…私が話すのを待っているのだろうか。

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目が合うと、慌てて目を逸らされる。

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『えっと…気分の良い話ではないかもしれませんが、私は元々捨て子なんです。宮城に仕える使用人のお婆様に拾われて…だから、親がどういうものなのか分からないんです。』

美世「…同じですね、」

『、』

美世「っ、申し訳ありません、！生意気な事を…っ

『っ謝らないでください、大丈夫ですから…！』汗

久堂「顔を上げろ。Aは怒っていない。」

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恐る恐る顔を上げた美世さんに、
清霞様は優しく微笑みかけた。

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久堂「謝罪ではなく、素直な言葉を聞く方が私も嬉しい。」

美世「…！」

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私はその時、人が恋に落ちる瞬間を見てしまった。

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