イキシア (ページ14)

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翌日

〜宮城〜

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『失礼いたします。A、参りました。』

「入るがよい。」

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『…ご無沙汰しております、堯人様。』

堯人「よく来たの、A。面を上げよ、まあ楽にせい。」

『失礼いたします。』

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堯人様は帝の子の1人で、
次代の帝位を継ぐ最有力候補のお方。

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幼い頃、清霞様と共に近しい付き合いがあった。
いわば幼馴染の様なものだ。

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『…して堯人様。＂天啓＂がおありだったと伺いましたが。』

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＂天啓＂とは代々帝の直系の子孫に受け継がれる異能。
神より国に降りかかる厄災を予め教えられるという
すなわち未来予知。

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天啓に従い異形と戦うことは
異能者の任務として歴史に刻まれている。

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今上帝は体調が思わしくなく、
子の中で唯一天啓を受け継いだ堯人様の天啓に基づき、
異能者が任務に赴くようになって暫く経つが
直々にお言葉を賜る事は余程の事…

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堯人「先日…何者かによって、＂奥津城＂が暴かれた。」

『！』

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＂奥津城(オクツキ)＂とは、
異能者の中で不遇な最期を迎え
成仏できなかった魂が納められた、いわば＂墓＂。

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暴かれたとなれば、奥津城の霊魂…＂蟲＂が
人々に取り憑いてしまい大変な事になるだろう。

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堯人「宮内省の術者が＂大体＂は抑えたが…所詮＂大体＂。その内、帝都内に被害が出るであろう。」

『…その事、清霞様は。』

堯人「案ずるな。既に宮内省の者から伝えてある。」

『…帝都内に被害を及ぼす事なく留める事が最重要ですが…万が一。蟲に侵された者が出た場合は、全力で治療致します。』

堯人「うむ、頼んだぞ。」

『はい。』

堯人「それとA、」

『はいっ、』

堯人「清霞との仲はどうだ？まだ婚約せぬのか？」ﾆｺｯ

『っ堯人様…、』

堯人「何を躊躇っておるのか…清霞を支える事が出来るのは、A。おぬししかおらぬぞ？」

『…でも、私は軍人で、』

堯人「思い合う2人の間に、そのような事は関係ない。…おぬし達の事を近くで見てきた私だからこそ、分かるのだ。」

『………思いを伝えても、清霞様は困らないでしょうか。』

堯人「おぬしが恋焦がれている男は、それほど小さな器か？」

『！……いえ。誰よりも、大きな器です。』

堯人「ふふ。では、良い報告を待っておるぞ。」

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堯人様の言葉に後押しされ、私は宮城を後にした。

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