忘れたく、なくなくない。【宮侑】 (ページ50)

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anotherepisode8 ページ50

次の日の朝、侑くんにひとつの箱を渡す。

『ごめんね、本当は昨日渡せばよかったんだけど。』

中身を見ると、私が選んだペアネックレス。

「なんや、2人ともネックレス選んどったんか」

そういってはにかむ笑顔で私に笑いかける侑くん。

侑くんの大きな手は暖かくて、

嫌なこと全部忘れられそう。

『侑くん』

「……ん？」

『あのね、』

『私……』

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オギャー、オギャー

辛い痛みに耐え、ようやく出逢えた我が子。

「A……ほんま、ありがとう」

「かわええなぁ、Aと同じくらいかわええわ」

「俺ほんま、幸せやわ。」

私と侑くんとの間に出来た小さないのち。

すこやかに、たくましく、

この先も一緒に歩んでいきたい。

そんな思いをこめてつけた名前は

“歩”

『宮……歩……』

「ええ名前やろ？」

『すごくすごく、いい名前。』

そういって3人肩を並べ病室から見える夕焼けを見た。

『侑くん』

「…ん？」

『これからも一緒に、歩んでいこうね。』

「おう。」

忘れたく、なくなくない。 anotherepisode 【完】