lua e sol (崖っぷちホテル！) (ページ33)

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「あの、お願いって？」

少し廊下を歩いたところで名前が問うと、宇海は口笛を吹くのをやめて立ち止まる。しかし何も話さずにまた歩き始めて、結局部屋の前まで来てしまった。何か要望があるのだろうか、と困った顔で彼女が付いてきているのを確認すると、宇海は笑みをさらに深めて。この冷静で落ち着いた様子の彼女をからかうのが楽しくて仕方が無くなってきてしまった。

「名前さん。」
「あの、宇海様。」
「なんですか？」
「その、どうして名前で呼ぶんですか？」
「支配人がそう呼んでいましたから。」
「いや、彼女とは昔から……。」
「幼馴染だそうですね！！こうして大人になっても一緒に働くということは、相当に仲がいいんですよね！」
「あ……いや、」
「違うんですか？」
「いえ、違わないんですけど……。」

プールサイドで佐那から聞いた話では、複雑な家庭環境で育った名前が生活に困ったところを、佐那の父である前総支配人が助けてあげたとのことだった。だから名前はこのホテルに恩があるという理由で出ていかないでいてくれるのだ、とも話していた。
宇海は佐那との会話を思い返しながら、一歩半後ろにいる彼女を振り返る。

「明日の朝、モーニングコールお願いしてもよろしいですか？」
「あ、はい。何時にいたしましょう。」
「名前さんが起きた時間で結構です。」
「え、」
「朝食もレストランのまかないを召しあがるんですよね？」
「あ、はい。」
「じゃあ一緒に食べましょう。」
「は？」
「では、お休みなさい。」
「……え？」

ぴったりと閉められた扉の前で立ち尽くす名前は、暫くの間、彼の言葉の意味を理解することができなかった。

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ようやく第1話終了です！なっが！
お付き合いいただきましてありがとうございました！ずーっとこんな感じでスローペースで進めていくと思います。
閲覧数やお気に入り登録が増えると嬉しいですね！本当にありがとうございます。
もともと自分のサイトにあげてたお話を持ってきているのですが、文字数制限に大変苦しんでおります。
変なところで改ページしており、読み辛かったらすみません。

そして江口さんとの関係が(笑)いやまあでも江口さんも30くらいだと思うし、ヒロインちゃんも25設定だし…色々あったのかなって(笑)
個人的には姐さんポジションにいる梢さんが大好きです！(笑)
できれば宇海さんと江口さんに取られ合うヒロインちゃんを見たいと思ってます。