誘拐 (ページ14)

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しばらくすると、保健室の先生が帰って来たのでAのことを任せ、俺は教室に戻った。

決行は今日だ。

思い立ったが吉日。

「ミンギュヤ～」

教室に入ると、満面の笑みを浮かべたソクミンが俺に話しかけた。

「Aちゃん、大丈夫そうか？」

「……うん」

そうだ。

ずっと一緒にいてくれた、親友とも別れなければいけなくなる。

そう思うと、すごく辛い。

俺の心情を察したのか、ソクミンの表情からも笑顔が消えた。

ちょっと、とソクミンは俺の腕を引いて人気のない場所へと連れて行った。

ソクミンは、少し間を置いて口を開いた。

「お前がなにを考えているか分からないけど、俺は一生お前の親友だ」

だから、とソクミン俺の肩に手を置いた。

「でも、後悔しないよな？」

ソクミンの口調は優しかったけど、真剣な眼差しを俺に向ける。

俺は、決心したんだ。

俺は頷いた。

ソクミンは、口元に弧を描いた。

そして、ソクミンは俺をかたく抱きしめる。

「親友。また会おうぜ」

ソクミンの言葉が震えていた。

俺は泣きそうなのを堪え、ソクミンの背中に腕を回した。

ありがとう、親友。

また、絶対に会おう。