絶賛、アプローチされ中。2【千切豹馬】

76 ページ35

.



お、また発見。


会場までの道中、サッカーのユニフォームを着た人をたくさん見た。


背中に刺繍された選手名でU-20のファンだとわかった。


豹馬達ブルーロックは、ホームゲームなのにアウェイの試合になるんだろうな。


大丈夫かな、なんて、一抹の不安を抱きながらスタジアムに到着。


｢…おぉ｣


人で溢れかえった会場に思わず声を漏らす。


去年見に行った豹馬の試合の時とは比べ物にならない。


｢今日の試合楽しみにしてたんだよね！｣


｢"糸師冴"がいるんだよ！？やばすぎない！？｣


噂にたがわぬ人気だ、糸師冴。


私には応援と信じることしかできないけど大丈夫だ。


豹馬達は、豹馬は必ず勝つ。


｢チケットこちらで確認しまーす！｣


アナウンスとプラカードに誘導されてスタジアムに入場。


広いスタジアムに迷いながらも無事指定された席を発見。


ブルーロック側メインスタンドの最前列。


フィールドからスタンドの距離が近くて、なぜか緊張してしまう。


｢きゃあああ！！！｣


｢ゔぉっ｣


突然沸き立った歓声に椅子から転げ落ちそうになる。


何事かとその歓声が向けられるものを探す。


｢愛空〜！｣


｢秋人！こっち向いてー！！｣


なるほど、選手が出てきたのか。


あれは確かU-20の主将、オリヴァ愛空とエースの千堂秋人だ。


2人に続いてぞろぞろと他のメンバーも入場してくる。


豹馬達も早く出てこないかな。


彼らのウォーミングアップを見ていると、視界の端に映る青に気づいた。


先程のような歓声の出迎えはなく、ブルーロックの選手達が入場していた。


会場のほとんどはU-20に夢中で、彼らが入場してきた瞬間を見ていなかったのだ。


｢…豹馬｣


無意識と言っていいほど自然に、あの赤い髪を探していた。

77→←75

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す