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オレンジ色の空を見上げながら黒猫と話をする。


「これね、私の好きな人が好きなんだって。進められて食べたらしっかりハマっちゃった」


「にゃ」


意味は理解していなだろうに返事だけは一丁前にしてくれる。


「猫って恋愛とかするの?」


「にゃー」


うるさいと言われた気がして、ごめんごめんと謝った。


心の中で勝手に翻訳をして会話を続行する。


「その人は世界一のストライカーになるんだ。あ、ストライカーってわかる?」


「にゃー」


"わかる、馬鹿にするな"


「私も世界一に連れていくって言ってくれたんだ。その約束って付き合ってなくても有効かな」


「にゃ」


"知らない、直接聞け"


「その人は去年の秋に怪我しちゃって。私も怪我したことあるからわかるんだけど、生きた心地がしなくなるんだよね」


左足に力が入らなくなる度、失った才能に気付かされる。


それは存在意義そのものを失ったと同義で、自分が自分じゃなくなったような気がしてしまった。


だから私は逃げた。


逃げることで奪われたんじゃなく、自ら選んだ道だと思い込ませようとした。


結局、後悔しちゃったんだけど。


「でもね、その人なら絶対に乗り越えられるって信じてるんだ」


本当は最後まで傍で支えたかったんだけどね、と黒猫に笑いかける。


「にゃあ」


優しく声色でひと鳴きすると、珍しく体を摺り寄せてきた。


「…撫でさせてくれるの?」


そっと手を伸ばして背を撫でると気持ちよさそうに喉を鳴らした。


柔らかい毛並みから黒猫の体温が伝わってくる。


「このまま卒業しちゃって、二度と話せないのかな」


黒猫の体温に、氷が溶かされるような気分になった。


「もっと早く伝えとけば変わってたかなぁ…」


ねぇ豹馬、まだ1回しか"好き"って言ってないんだよ。


豹馬はたくさん伝えてくれたのに、私は全然返せてないんだよ。


零れる涙には抵抗しなかった。


「まだ、豹馬のこと大好きなんだよ…」


「…にゃ」


背中に涙を落としてしまったせいか、それとも気まぐれか。


ブロック塀の方へ歩いていく黒猫を目で追っていると、黒いスニーカーが目に入った。


人、いたんだ。


黒猫との会話を聞かれてないことを願って、恐る恐る顔をあげる。


うちの学校の制服。


肩まで伸びた赤い髪。


「よ、久しぶり」


大好きな人がいた。

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にいな(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます!!何卒最後までお付き合い下さい〜!!♡♡ (4月12日 2時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - すごく面白かったです!頑張ってください!サイコー! (4月8日 20時) (レス) @page1 id: 2b4aba0b1a (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - 由衣さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます🥰これからも頑張れます👊🏻 (2023年4月11日 20時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
由衣 - この作品大好きであります…‼︎尊い…これからも更新楽しみにしています! (2023年4月10日 16時) (レス) id: ddafeb5c63 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - うなぎポテトさん» お気遣いありがとうございます🙌🏻これからも頑張ります‼️ (2023年3月30日 20時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:にいな | 作成日時:2023年2月2日 18時

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