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こんなにも辛い失恋は初めてで、家に帰ってから嗚咽するくらい泣いた。
3日はまともにご飯が喉を通らなくて、ママ達にも心配をかけた。
学校では多分、普通に振る舞えてたと思う。
桃に事情を話すともどかしさで爆発しそうと震えてたっけ。
「千切、先生が呼んでたよ」
「…わかった、ありがと」
豹馬とはただのクラスメイトになった。
呼び方を変えたのは私なりのけじめ。
2年生になって私達は違うクラスになった。
廊下ですれ違ったりしても言葉はおろか、視線も交わさない。
グラウンドの前を通る度にあの赤髪を探してしまうけど、姿を見ることはなかった。
秋になる頃には豹馬のいない日々にもすっかり慣れた。
ただ、彼への気持ちは消えないままだった。
「にゃー」
学校からの帰り道にぼろい空き家がある。
玄関の前に、賢そうに座った一匹の黒猫。
「久しぶりだね」
恐らくこの辺を縄張りにしてるであろう野良猫。
日によっていたりいなかったりするから、会えた日はいいことがある気がして嬉しくなる。
「にゃー」
「ちょっと待っててね…じゃじゃん」
この子にいつ会ってもいいよう携帯しているかりんとう饅頭を取り出してみせた。
豹馬へのお見舞いの品が、この子への献上品になった。
「ほら、お食べ」
饅頭を頬張る黒猫を見ながら、自分用に買っていた饅頭を食べる。
これが私の至福の一時である。
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にいな(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます!!何卒最後までお付き合い下さい〜!!♡♡ (4月12日 2時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - すごく面白かったです!頑張ってください!サイコー! (4月8日 20時) (レス) @page1 id: 2b4aba0b1a (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - 由衣さん» 嬉しいお言葉ありがとうございます🥰これからも頑張れます👊🏻 (2023年4月11日 20時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
由衣 - この作品大好きであります…‼︎尊い…これからも更新楽しみにしています! (2023年4月10日 16時) (レス) id: ddafeb5c63 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - うなぎポテトさん» お気遣いありがとうございます🙌🏻これからも頑張ります‼️ (2023年3月30日 20時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にいな | 作成日時:2023年2月2日 18時