御曹司、初恋の行方【御影玲王】

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玲王は冷蔵庫からワインボトルを取りだしてグラスに注ぐ。


｢私、未成年だよ｣


｢俺も。これノンアル｣


ん、と差し出されたグラスを受け取る。


｢可愛い弟の玲王はいなくなっちゃったのか｣


｢とっくにな。Aさんの前では猫被ってただけ｣


｢なんだそれ｣


グラスを傾けて液体を遊ばせる。


ちょっとだけ寂しいけど、成長した証拠なのかな。


｢知ってると思うけど俺、欲しいものは全部手に入れる主義なんだ｣


｢…だから？｣


｢俺はずっとあんたが欲しかった。だから婚約を持ちかけたんだ｣


ふふん、と効果音がつきそうなドヤ顔でそんなこと言われても。


政略結婚をまさか本当に結婚したいから利用するなんて。


御曹司、恐るべし。


｢政略結婚なんだから私が頷けば手に入るに決まってるじゃん｣


｢ああ、Aさんそのものは手に入れた。あとは心だ｣


生まれながらの勝者である私達は、容易く手に入らないものの価値をよく知っている。


生憎、それに対する執着心が並大抵でないことも。


｢これから覚悟しといて｣


退屈な毎日がひっくり返る音がした。


｢俺が必要だと言わせてやる｣


この時、御影玲王は大切なことを忘れていた。


生まれながらの勝者は玲王だけではない。


玲王(ライオン)の前にいるのは、同じくライオンだということを。

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