検索窓
今日:18 hit、昨日:81 hit、合計:95,128 hit

26 ページ26

.



「それで、用件は何?」


隣に座るAさんがスマホに目を落としたまま言う。


「用件っつーか、話したいなって」


「なんだそれ」


「Aさんのことなんも知らねーから」


「なんも知らないことはないでしょ。誕生日も血液型も知ってるじゃん」


あぁ、わかった。


Aさんは今、俺と話すことを避けてる。


わざとスマホを触って、さりげなく拒否を示されている。


この人はきっと、俺を弟として見続けることで関係が変わらないようにしてる。


「あっ、ちょっと、なにす…」


スマホを取り上げて、彼女の保湿された唇にキスをした。


「ちゃんとこっち見ろ」


「…やっぱ襲う気じゃんか」


顔を赤く染めたAさんが、せめてもの抵抗のように悪態をつく。


「俺らさ、拗らせすぎてんだよ」


「…は?」


虚を突かれたような間抜けな顔。


「あんたもわかってんだろ。このままじゃ2人共、だめになる」


婚約するということは、一生連れ添うパートナーになるということ。


恋愛感情があろうとなかろうと、2人の関係が良好であることに越したことはない。


それに、


「生きづらそうにしてるあんたを、このまま放っておけない」


あんたはもっと自由で、無邪気で、気高くて。


何があんたを縛ってるのか教えてほしい。


あの頃のAさんに戻ってほしい。


そのためなら、合理性の欠片もない賭けにだって出る。


「俺と向き合う気がないなら、この婚約は解消する」

27→←25



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (322 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
731人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

にいな(プロフ) - RENKAさん» 際どいところを攻めていこうと思います🤭 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - (名前)さん» シンプルで最高の褒め言葉です!ありがとう🥲 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - RENKAさん» ありがとうございます!玲王のポテンシャルをじゃんじゃん引き出していきたいです🫶🏻 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - あ、えっどって書こうとしたらえっどんになってる…き、気にしないでくださいね!! (2023年1月31日 17時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、えっどんだけど…いいぞ!もっとやれ(( 最&高です👍🏻 (2023年1月31日 17時) (レス) @page19 id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:にいな | 作成日時:2023年1月26日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。