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「それで、用件は何?」
隣に座るAさんがスマホに目を落としたまま言う。
「用件っつーか、話したいなって」
「なんだそれ」
「Aさんのことなんも知らねーから」
「なんも知らないことはないでしょ。誕生日も血液型も知ってるじゃん」
あぁ、わかった。
Aさんは今、俺と話すことを避けてる。
わざとスマホを触って、さりげなく拒否を示されている。
この人はきっと、俺を弟として見続けることで関係が変わらないようにしてる。
「あっ、ちょっと、なにす…」
スマホを取り上げて、彼女の保湿された唇にキスをした。
「ちゃんとこっち見ろ」
「…やっぱ襲う気じゃんか」
顔を赤く染めたAさんが、せめてもの抵抗のように悪態をつく。
「俺らさ、拗らせすぎてんだよ」
「…は?」
虚を突かれたような間抜けな顔。
「あんたもわかってんだろ。このままじゃ2人共、だめになる」
婚約するということは、一生連れ添うパートナーになるということ。
恋愛感情があろうとなかろうと、2人の関係が良好であることに越したことはない。
それに、
「生きづらそうにしてるあんたを、このまま放っておけない」
あんたはもっと自由で、無邪気で、気高くて。
何があんたを縛ってるのか教えてほしい。
あの頃のAさんに戻ってほしい。
そのためなら、合理性の欠片もない賭けにだって出る。
「俺と向き合う気がないなら、この婚約は解消する」
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にいな(プロフ) - RENKAさん» 際どいところを攻めていこうと思います🤭 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - (名前)さん» シンプルで最高の褒め言葉です!ありがとう🥲 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - RENKAさん» ありがとうございます!玲王のポテンシャルをじゃんじゃん引き出していきたいです🫶🏻 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - あ、えっどって書こうとしたらえっどんになってる…き、気にしないでくださいね!! (2023年1月31日 17時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、えっどんだけど…いいぞ!もっとやれ(( 最&高です👍🏻 (2023年1月31日 17時) (レス) @page19 id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にいな | 作成日時:2023年1月26日 19時