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Aさんの部屋の扉をノックする。
「俺だけど、入っていい?」
シーン。
少し待っても返事は来ない。
まさか、嫌われた?
「嘘だろ…」
最悪のケースを想像して、頭が真っ白になる。
放心状態で立ち尽くしていると、近づいてくる足音で我に返った。
「あれ、何してんの?」
「A、さん…」
湿った髪の毛と火照った頬。
風呂に入ってきたであろうAさんに、さっきまでの不安は吹き飛んだ。
その代わりに芽生えた少しの愛欲。
俺の前を通って部屋に入るAさん。
この気持ちのまま彼女といていいものかと悩む。
「入らないの?」
不可抗力だった。
自分の理性も制御できない低俗な人間にはならないと心に誓って部屋に入る。
Aさんはドレッサーの前に座り、引き出しからドライヤーを取り出す。
「俺がやる」
「え、あ…ありがと」
有無を言わせず奪い取って、Aさんの髪を乾かしていく。
スマホでSNSを見ている彼女を鏡越しに見つめる。
「綺麗になったな」
不意に出た言葉にAさんが顔をあげる。
「何か言った?」
ドライヤーで俺の声は届いていなかったらしい。
「綺麗だなって」
さっきより大きな声で言うと、今度は聞こえたらしく顔を赤くした。
「…また襲うつもり?」
「はぁ!?」
「動揺しすぎ、認めたようなもんじゃん」
楽しそうに笑うAさん。
馬鹿にされてるなと思いつつ、彼女の可愛さに免じて許した。
乾き終わったので、仕上げにヘアオイルを塗ってブラッシングをする。
「よし、終わった」
「ありがとね」
Aさんは俺の乾かした髪の毛を満足そうに撫でる。
お気に召したようでよかった。
まだスキンケアが残ってる彼女をソファに座って待つ。
暇だったので来ているメッセージに目を通す。
そのほとんどは女子から。
俺にはAさんがいるし連絡先消そうかな。
「わ、女の子からのメッセージでいっぱいじゃん」
「…勝手に見んなよ」
いつの間にか俺の後ろにいたAさんに驚いた。
「見ないでほしいってやましいことがあるって意味だよ」
女子の連絡先をその場で消した。
後日、女子達にはもう一度追加してと泣きつかれたがうまくやり過ごした。
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にいな(プロフ) - RENKAさん» 際どいところを攻めていこうと思います🤭 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - (名前)さん» シンプルで最高の褒め言葉です!ありがとう🥲 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - RENKAさん» ありがとうございます!玲王のポテンシャルをじゃんじゃん引き出していきたいです🫶🏻 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - あ、えっどって書こうとしたらえっどんになってる…き、気にしないでくださいね!! (2023年1月31日 17時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、えっどんだけど…いいぞ!もっとやれ(( 最&高です👍🏻 (2023年1月31日 17時) (レス) @page19 id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にいな | 作成日時:2023年1月26日 19時