23 ページ23
.
凪君は本当にそれ以上でもそれ以下でもないって顔。
なんなのって言われても、婚約者か姉弟みたいな関係としか表しようがない。
｢ま、いいや。面倒臭そうだし｣
｢凪君が聞いたのに｣
彼のマイペースさに、真剣に考えてた自分があほらしくなる。
｢最近の玲王、ずっとおねーさんのこと考えててらしくないから｣
凪君は仰け反って空を見ながら言う。
彼なりに玲王のことを心配してるということなんだろうか。
｢玲王と結婚できるなんて皆喜びそうなのに、おねーさんは違うんだね｣
｢…凪君は、小さい頃から一緒にいる姉弟みたいな人いない？｣
｢いないけど｣
何が言いたいの、といった顔で私を見てくる凪君。
｢私には玲王がそうだから、今更関係が変わるのが怖いんだよね｣
誰にも言うつもりのなかった本音が零れた。
そこまで精神的にやられているのか、はたまた凪君の不思議な雰囲気がそうさせたのか。
｢将来のこととか考えて、好きになれたら楽なんだろうなって思うし……弟って言うには限界感じてる｣
一線越えちゃったし、と言いかけて口を噤む。
玲王だってひとりの男で、彼もそう意識させるようと頑張ってる。
まんまと意識させられてるのが、なんだか面白悲しい。
｢あ、ごめんね。こんなこと言われても困るよね｣
｢うん、正直困ってる｣
｢愛想もオブラートもないね｣
普通ならそんなことないよって言うとこなのに、どこまでも素直な凪君。
だけど嫌な気はしない。
凪君の前だと素に近い自分でいられて心地いい。
彼は当然のような顔をして口を開く。
｢変な意地張らないで素直になればいいんじゃん｣
｢正論かまされたら言い返せないなぁ｣
｢おねーさんも玲王も、お金持ちは難しく考えるのが好きなんだね｣
｢凪君は可愛い顔して毒吐くのが好きね｣
嫌味で返すと、凪君はむっと顔をしかめた。
｢やっぱり面白いね。そりゃ玲王も気に入るわけだ｣
｢それ褒めてる？｣
｢もちろん。凪君の素直なところ好きだよ｣
｢そりゃどーも｣
ちょうど予鈴が鳴ったので、荷物を持って立ち上がる。
｢またお話しに来るね。ちゃんと授業出るんだよ｣
はーい、と返事はしたものの動く気配のない凪君を置いて屋上を後にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 731人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にいな(プロフ) - RENKAさん» 際どいところを攻めていこうと思います🤭 (2023年2月8日 0時) (
レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - (名前)さん» シンプルで最高の褒め言葉です!ありがとう🥲 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - RENKAさん» ありがとうございます!玲王のポテンシャルをじゃんじゃん引き出していきたいです🫶🏻 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - あ、えっどって書こうとしたらえっどんになってる…き、気にしないでくださいね！！ (2023年1月31日 17時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、えっどんだけど…いいぞ！もっとやれ(( 最&高です👍🏻 (2023年1月31日 17時) (レス) @page19 id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：にいな | 作成日時：2023年1月26日 19時
