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「あ、玲王」
声と共に扉が開いて、見慣れた紫髪が現れた。
「なんでAさんがここに?」
驚いた様子で私と白髪の彼を交互に見る玲王。
「このおねーさん、玲王の友達?」
「友達っつーか…その人が俺の婚約者だよ」
通りで似てると思った、と納得する白髪の彼と、お互いに彼との関係性がわかっていない私と玲王。
「その顔、どうしたんだよ」
玲王が血相を変えて駆け寄ってくる。
きっと殴られた頬が赤くなっているのだろう。
正直に話すべきか悩んでいると、隣の白髪君が口を開いた。
「殴られてたから、俺が助けてあげた」
余計なお世話を…
「殴られたって、誰に!?」
「誰なんだろ。おねーさん、あの男誰?」
「男!?」
必死の形相の玲王に誰だよそいつ、と肩を掴まれる。
白髪君のせいで事態は拗れる一方だ。
だけど2回殴られなかったのは彼のおかげなので、今回はそれに免じて許してやるか。
「…元彼、だけど」
「はぁ!?聞いてねぇよ…」
「言ってないもん」
怒ったかと思えば次の瞬間には落ち込んでいる玲王。
コロコロ変わる表情が面白い。
「名前は?」
「聞いてどうするつもり?」
「消す」
「私達が言うとシャレになんないって知ってる?」
こくん、と首を縦に振る玲王の顔は本気そのもの。
「脅してあるから平気。そんなことよりこの子に用があるんでしょ?」
随分前からスマホから銃撃音を発する白髪君にバトンタッチを試みる。
「帰ってからちゃんと話してもらうからな」
不本意そうだが、バトンタッチには成功したようで一息つく。
「凪もなんでこんなところにいるんだよ」
「寝てたら授業終わっちゃってた」
どこまでもゆるゆるした白髪君と玲王は同級生らしい。
相容れないような存在に見えるが、どうにも玲王の方が白髪君に心酔しているみたい。
「Aさんは先に帰ってて。こいつとサッカーの練習あるから」
玲王に背負われた彼は、練習やだ、とぼやく。
そういえば、お礼言ってなかったっけ。
「白髪君、1回殴られたけど助けてくれてありがと」
「完全に嫌味じゃん。あと名前、凪だから」
「じゃあ凪君、玲王と仲良くしてやってね」
終始だるそうな彼に、玲王が夢中になるのがわかった気がした。
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にいな(プロフ) - RENKAさん» 際どいところを攻めていこうと思います🤭 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - (名前)さん» シンプルで最高の褒め言葉です!ありがとう🥲 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
にいな(プロフ) - RENKAさん» ありがとうございます!玲王のポテンシャルをじゃんじゃん引き出していきたいです🫶🏻 (2023年2月8日 0時) (レス) id: f69c63ae39 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - あ、えっどって書こうとしたらえっどんになってる…き、気にしないでくださいね!! (2023年1月31日 17時) (レス) id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
RENKA - え、えっどんだけど…いいぞ!もっとやれ(( 最&高です👍🏻 (2023年1月31日 17時) (レス) @page19 id: 345a1df315 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にいな | 作成日時:2023年1月26日 19時