その天才、恋愛初心者につき。【凪誠士郎】

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｢お待たせ〜｣


すっかり聞き慣れた、のんびりとした声が背後から聞こえた。


誠士郎君の声だ。


振り向くと玲王におぶられた誠士郎君が手を振っていた。


思ったことは2つ。


ひとつ、自分より身長が高くてガタイのいい誠士郎君を持ち上げれる玲王がシンプルにすごい。


ふたつ、誠士郎君が赤ちゃんみたいでなんか可愛い。


母性本能がくすぐられたけどぐっと堪えて手を振り返す。


｢あとは自分で歩けよ、よっと｣


私の前まで来た玲王に降ろされた誠士郎君は、地面に足ついちゃった、と悲しげに呟く。


控えめに言ってすごく可愛い。


｢じゃあ、楽しんでこいよ｣


玲王は恐らく気を使ってくれたんだろう。


心の中でありがとう、と感謝して玲王が乗ったリムジンを見送った。


｢俺らも行こっか｣


｢あっ、うん！｣


一緒に出かけたのは昨日のことなのに、久しぶりな気がして緊張してしまう。


お昼休みだって一緒にいたのに。


｢誠士郎君｣
｢A｣


タイミングが被って2人で目を合わせて驚いた。


びっくりししたと同時に、考えていることが同じような気がして嬉しくなった。


｢A、先言って｣


｢大したことじゃないけど、誠士郎君、何が食べたいかなって｣


｢んー…俺はAと一緒にいるだけで十分だから、なんでもいいかな｣


｢うっ…！｣


だめだ、心臓が破裂しそう。

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