その天才、恋愛初心者につき。【凪誠士郎】

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学校から帰宅し、ベッドに倒れ込む。


今朝までこのベッドで誠士郎君が寝てたのか。


というか、そもそもこの家に私と誠士郎君の2人きりだったんだ。


思い出してみると、夢を見ているような不思議な感覚になる。


誠士郎君の寝顔、綺麗だったなあ。


｢うわ｣


スマホに反射した自分の顔を見て、口元が緩んでいることに気づいた。


これは決して誠士郎君の寝顔を思い出してにやけたわけじゃない。


そんな変態じゃあるまいし。


ぶんぶんと頭を振って思考を強制的に破棄する。


制服から部屋着に着替えたり、帰宅してからの一通りの作業を終えてソファに座る。


スマホを確認すると、新着メッセージがあります、の文字が。


誰からだろう。


パスワードを解除してメッセージの送り主を確認すると、"凪誠士郎"の4文字が見えた。


｢え、なんで、おわっ、あぶな｣


びっくりしてスマホを落としそうになったけど、危機一髪セーフ。


"玲王に教えてもらった。迷惑じゃないかな"


迷惑だなんてとんでもない。


すぐに文字を入力し、送信ボタンを押す。


"大丈夫だよ。ちょっとびっくりしたけど"


トークルームを見返して、思わず笑みがこぼれた。


今日1日悩んでいたことなんて、もう頭にはなかった。


心がふわふわするようなこの感覚は多分___


ううん、これは誠士郎君と友達になるチャンスが明確にできて嬉しいだけ。


私の中の理性が、この感情に名前をつけるには早いとブレーキをかける。


今はただ、誠士郎君のことを知りたい。


好きな食べ物だけじゃなくて、嫌いなものや休日の過ごし方、家族構成だって。


凪誠士郎という人間を、もっと知りたい。

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