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「お前のせいで、お前ら親子のせいで
俺の父さんは死んだ。」
「俺も父さんも、何も知らない一般人だった!!」
「お前の母親が来るまでは!」
「お前がそんな変な呪術使わなければ!!」
その通りだ。
私がこの術を身につけなければ
私があの家に生まれてなかったら、
そんなこと、
「知ってるよ。」
分かってる。
何度も思った、何度も何度も
返ってくることの無い
声を求めて謝った
だけど
「死人に謝罪して…一体何を知れるの」
「……!お前はそうやって、あの時もお前の好奇心で父親を見殺しにしたんだろう」
「……」
「ッ!!お前のせいで俺は大っ嫌いなこの世界に足を踏み入れ!!術も使えない俺が…呪いも見えない俺が!!」
「本当は父さんも、俺も!!こんな世界を知らなくてよかった。」
「父さんひとりいるだけで幸せだった!!」
「なのに、お前が現れて…父さんはお前の方に行って……あの日から帰ってこねぇ、」
母さんは小さい頃になくして、
父さんとずっと二人だった。
仕事が大変そうで、ご飯を一緒に食べることもあんまりなかった。
だけど、日曜日だけは絶対開けてくれて
一緒に公園に行ってくれた。
それだけで良かったんだ。
どれだけ仕事が忙しくても
どれだけ一緒に食卓を囲えなくても
父さんが笑ってくれるのならそれだけで
なのに急に再婚するなんて言い出して、
毎日父さんと喋れると思ったら、
急に現れた妹に全部奪われたんだ。
あの日から禪院家の人間が俺を呪術師にしたてあげた
俺は呪いも見えねぇのに…
全部、全部全部、
こいつさえいなければ
こいつが生まれなければ
俺はなにも失わずに済んだのに……
そう何度と思った。
『にいさま、このたまごやき…おいしいです。』
その度に思い出すんだ。
俺と、父さんと、こいつと見た
ヤエザクラを。
「…頼むから、俺の前から消えてくれ……」
これ以上お前を憎ませないでくれ
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作者名:久遠 | 作成日時:2020年12月27日 1時