審神者はじめました。【男主】 (ページ9)

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日向ぼっこページ9

新たにやってきた刀たちの撮影会を終える。
すると「刀装を作り終わった」と山姥切とこんのすけがやってきた。
今回だけですよ、と見逃してくれたことに感謝しつつ。

「そういえば、先ほどのバグの発生のお詫びに、と政府から大量の資材を受け取りました！
なので、もう一度鍛刀なさって第二部隊を作ることをお勧めします！」

と、こんのすけが満面の笑みで言うので、７振りの刀を鍛刀することにした。
薬研君が「兄弟は自分の手で集めたい」というので、今回は打刀、太刀勢を狙うようにして資材を適当に妖精さんに渡す。
三時間を超えるようなものもあるそうで、暇になった俺たちは縁側で日向ぼっこをすることに。

刀剣たちと仲良く縁側に腰かける。
順番は骨喰、薬研、山姥切、俺、加州、鶴丸である。
今太陽は真上から少し西に沈んだところ……午後3時くらいだろうか。
一日が長く感じられる。
ぼーっと空を眺めていると、隣の加州君が口を開いた。

「ねぇ、主の名前教えてよ」
『名前……あー、そういえば言ってなかったなぁ……Aだよ、姓は不破。』
「それはもしかして真名、じゃあない……よな？」
『まな？いや、言っただろ、Aだ、って……？』

名前を教えろと言われたから、教えただけだろう。
どこか青ざめた顔でこちらを見る彼らに首を傾げる。
すると、口をひくつかせた薬研君が、そりゃもうゆっくりと、説明してくれた。

『つまり、真名は命と同じくらい大事で、簡単に教えていいものじゃないと。』
「大将、こんのすけから聞いてなかったのか？」
『うーん……正直話してたんだろうけど記憶にない』

大方、俺が帰る云々を決断していた時に話したんだろう。
一切記憶にないが。
刀剣たちは呆れたようで、溜息やら憂いの眼差しやらをくれる。
隣にいた加州君はば、と顔を上げると身を乗り出して、

「だめじゃん！僕たちがその気になれば主死んじゃうかもしれないんだよ？！」
「そうだぞ、俺たちがもし君を神隠ししたらどうするんだい？」

鶴丸もそれに乗っかってくる。
その勢いに圧倒されて、う、と口ごもりつつ、後ずさりする。

命と等しい真名を神様に知られたら最後、人間である俺の為す術はない。
なんて、理不尽……けれど。

『その時は、神様の寝床でも撮りに行くさ』

俺には神様に対抗するだけの力はない。
だからせめて悪あがきに。

皆はポカンとした顔をしていた。
それが予想外で、面白くて。
心の中がスカっとしたような気がした。