審神者はじめました。【男主】 (ページ22)

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大きな鶴を抜きましょうページ22

庭に真っ白なお花が咲いたころ。
出陣に行きたいと薬研が言うので、
【長谷部、薬研、獅子王、まんば、石切丸、じろさん】で出陣に行くことに。
はやく兄弟を見つけたいのかな。

「大将！俺っち頑張ってくるからな！」
『ま、程々にな』
「俺も負けねぇ！」
『今の、聞いてたか？』

まぁ気をつけてな、と張り切る薬研と獅子王を、若干の苦笑とともに撫で、見送った。
戦場に自ら行きたいと言い出すとは、やはり刀。
きっと闘争心みたいなのが残っているのかな。

ふ、と空気に溶けた６つの影。
その視界の端に咲く、白。

『イケメンの生首って想像以上に怖ぇわ』
「主……これはちょっと……ねぇ？安定」
「うん……流石にかわいそ……ぶふぉッ」
「く……沖田組め……！主！出してくれ！！」
『だぁーめ』

隣でふるふると肩を震わせている安定と清光に同情しつつ、鶴丸の側に屈む。
恨みがましそうに見上げる様をイイ笑顔で眺めてやる。
やー、いい眺めですこと。

『出してほしい？』
「！もちろんだ！何すればいい？！」
『切り替え早いなぁ……
じゃあ、俺の言うこと１個聞く？』
「聞く聞く！！」
『お前それ聞かねぇヤツの言うことだよ』

まぁいいけど。
とりあえず、鶴丸を穴から引っこ抜くことにした。
安定と清光の手を借りつつ、引っ張る。

……抜けん。
さすが長谷部、仕事が丁寧。
てか、日頃の恨みも籠ってるのでは……

『お前、ほんっとほどほどにしとけよ』
「俺もこんなに抜けないとは驚きだ」
『こっちのセリフだ』

３人じゃつらいか、と本丸に残ってた三日月たちを呼んで引っ張る。
ふがぁぁ！と鼻息荒く力を込めてやっと抜けた。

大きなカブか、お前。
色的にあってるから否定できないのがつらいな。

はぁはぁ、と肩で息をする俺たちとうっすら汚れた鶴丸。

「主、鶴丸さんにお願いって何するの？」
『あー、そりゃもちろんほら、アレ。
ほんとは新入り組もすぐやりたかったんだけど、こんのすけが泣きつくから……』

脳裏をよぎるのは、あのキツネ。

ーお願いします、審神者殿！ー
ー正式に活動を始めたことを記録に残さねばならぬのですー
ーあなた様が本意を曲げてまでここに居られるのは知っておりますが、何卒……ー

それは審神者部屋での出来事。
思い出すと少しだけ、胸が傷んだ。
きっとまだ、夢を諦めきれていない証拠。

いい加減、すっぱり諦めろよ。
女々しいぞ、俺。

じんわりと広がる虚しさに知らない振りをして。
刀剣たちに笑顔を見せた。