審神者はじめました。【男主】 (ページ12)

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いざ出陣ページ12

鍛刀を終え、新たな仲間が合流した俺たちはさっそく部隊編成をした。

第一部隊
【まんば・三日月・鶴丸・獅子王・じろさん・石切丸】
第二部隊
【長谷部・一期・ばみちゃん・薬研・清光・安定】

第二部隊は長谷部に仕切ってもらって、さっそく遠征にいってもらった。
主命とあらば！と颯爽と走り去った彼と粟田口の兄だという彼なら大丈夫だろう。
問題は、こっちの。

「どーやってつけんだこれ！！」
「どれ、俺に貸してみろ……あなや」
「ち、千切れただと……？！」
「それは……なかなかいい驚きだ！」

目の前では、まんばに作って貰った刀装を獅子王に着ける前に破壊する三日月。
鶴丸は感心してるし、当のまんばはがっくりと項垂れている。
ドンマイ。
人間の体に慣れていないとはいえ、これでは素人同然なのではないだろうか。

『お前らホントに大丈夫か？』
「加持祈祷も済ませたし、心配ないよ、主。」
「そうそう！アタシたちに任しときな！」

なんとなく心が折れかけたが、それを大太刀二人が支えてくれた。
デカいからか包容力半端ねぇな、おい。

そんなこんなで、合戦場へと続く門の前に立つ。
石造りの重厚なそれはいかにもな空気を発していて、思わず息を飲む。
こんのすけ、と呼ぶとポン、と煙を立てて現れた。

『ほ、ホントに戦場に繋がってるのか……？』
「そうです……刀剣様もどうかお覚悟を」

こんのすけは至って冷静で、それが無性に不安を掻き立てた。

審神者は、本丸で刀剣の帰還を待つしかないらしい。
無力な俺が行っても出来ることはないし、刀剣達は俺より強いらしいけど。
だからといって、心配しないかといえばそれは否だ。

『ちゃんと、帰ってこいよ』

まだ彼らのことも、それ以外も、何もわからない俺に出来るのは、ただ願うくらい。
彼らは俺の言葉に力強く１つ頷く。
そして。

「行ってくる」

まんばを筆頭に彼らは次々と門を潜っていく。
その背は、さっき他愛もない話をしていた時よりも遠く、改めて彼らは俺と違う世界に住むもの達だと感じる。
ゴゴゴ、と重々しく閉じられる門を見ながら。

(やっぱり理不尽、だ)

こうして一人取り残されることも、夢を捨てる選択しかなかったことも、彼らとは本当の意味で家族になれないことも。
何もかもが理不尽極まりない……悔しいことだ。

込み上げた何かをはぐらかすように見上げた空は、酷く青くて雲１つなくて……澄んでいた。
ち、と１つ舌打ちをして、自室へと歩き出したのだった。