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STORY 53 ページ10

カイルside

「いい加減離してよ!!」

「やめろ!大人しくしとけ!!」

Aは起きた後キング達に話があると言っていたから、ランスロットを呼んでAの話を聞いていた。

『このままじゃ、アリスちゃんがこの国が、大変な事になる。』

Aは2人にハッキリと告げた。その顔はとても深刻で、嘘だとは思えなかった。それを聞いたランスロット達の顔も驚いていた。

その後、2人はAから詳しく話を聞いて部屋を出て行った。すると、Aも一緒に出て行こうとしたが止めた。

最初は嫌がる素振りは無かったが暫くした後、また頭痛が襲ってきて何かが見えたらしく、走り出そうとしたAを抑えている。

「Aっ!落ち着けって!」

「無理!落ち着けないっ!アリスちゃんがっ…!!」

「お前は、何が見えた!!」

喧嘩は弱いけど、俺も男だ。Aの正面に立ち頬を両手で挟みながら俺の方に向かせると、泣き出しそうな顔をしていた。その瞳は、赤くて少しだけクラクラしたが、暫く見つめていると元の色に戻った。

「…何が、見えたんだ?言ってもらわなきゃ、分からねぇ…。」

そう言う俺の声が、部屋の中に溶けて消える。沈黙の時間は短いはずなのに、何十分にも思える。

Aの顔をずっと見ていると、今にも目から涙がこぼれ落ちそうだった。その顔をずっと見ていると、Aは俺の腕を掴んでいたがそっと下ろした。
それと同時にAの頬から手を離すとAはゆっくり話し出した。

「…分かんないっ。けど、アリスちゃんがっ…、何かの手でっ、消されちゃうかも知れない…っ!」

そう言って、Aは自分の顔を手で覆いながら子供のように泣き出した。Aの泣き顔に何処か懐かしさと、不安が押し寄せてきた。

_どうすればいい?何をすれば正解?今、Aは…。

答えを出す前に俺はAを抱きしめていた。
自分でも驚いたが、腕の中でAの体温が感じられて抱きしめる強さを強くした。

「…今は、俺が居ないものだと考えていいから。好きに泣け。」

Aの髪の毛が視界の端に微かに見える。Aの小さい背中を見て、何とも言えない気持ちになった。

_こんな小さい背中で色んな物、背負いすぎだ。

そう思った瞬間Aが俺の腕を少し掴むのが分かった。きっと、声を殺して泣いているんだろう。

_あん時の娘みたいに、Aの事も救えないのか…。

俺は腕に込める力を少しだけ強くした。

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Re-(^^)(プロフ) - 一気読みしちゃいました更新楽しみに待ってます!! (2019年10月24日 0時) (レス) id: ff2569188a (このIDを非表示/違反報告)
イゾウRAVU - とっても面白いです!!これからも頑張ってください!更新待ってます!(^ー^) (2018年10月23日 23時) (レス) id: 0e771d3d36 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - ミヤビさん» 遅くなってすいません!ありがとうございます!(*´ω`*)納得いかないと嫌なんですよね…。ありがとうございます!頑張ります! (2017年5月20日 18時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)
ミヤビ(プロフ) - 小説書いたことないので辛さをわかることができませんが、応援しています! (2017年5月19日 17時) (レス) id: d8582f9ac6 (このIDを非表示/違反報告)
美華(プロフ) - コッペパンさん» 本当ですか?!嬉しいです…!頑張りますね!(≧∇≦) (2017年3月27日 0時) (レス) id: 860ddc9470 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:美華 | 作成日時:2017年3月17日 23時

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